刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話 の感想

253 人が閲覧しました
アマゾンで購入する

参照データ

タイトル刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話
発売日販売日未定
製作者堀江 貴文
販売元文藝春秋
JANコード9784163765105
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » は行の著者

購入者の感想

ライブドア事件の頃にテレビで見てからずっと、カネにものを言わせるタイプのふてぶてしい感じの人、という印象を持っていたのですが、仮釈放会見のスッキリした表情を見て、こんな人だったっけ?と感じたことがきっかけで本書を手に取りました。
 かつて何百億もの資金でビジネスをまわしガンガンに儲けていた人物が、雑誌を買うお金もままならないような受刑者の上司に怒鳴られ、痴呆がある高齢受刑者の世話をし、祝日に出されるお菓子に一喜一憂する。
この「刑務所わず。」では、前半が、獄中では検閲で書けなかった受刑者の話、後半が刑期終盤の日記になっています。この本に載っている時期の日記は、かなり刑務所に慣れた様子で、心境的にもかなり穏やかというか落ち着いた感じです。これを1冊読んでから、刑務所に入った最初のころはどんな気持ちだったんだろう?というところが気になって、刑務所なう。刑務所なうシーズン2も買ってしまいました。読み物としては、検閲で書けなかった部分というのがやはり面白く、この「刑務所わず。」が一番面白かったです。日記やニュース解説部分はご本人が獄中にいた時のリアルタイムで読みたかったなぁと思ってしまいますが、全編を通じ、獄中では納得のいかないこともぐっとこらえ、制限だらけの環境で、それでも腐らずに頭を働かせて、本を読み文章を書き、というその姿勢には好感を抱かずにはいられませんでした。愚痴も悲観もそこにはなく、前を向く意志の強さが環境適応力になっていて、それが、仮釈放会見のあの脱皮したような(この本のカバーイラスト通りだと思います)すがすがしさに繋がるのかな、と思いました。

僕は著者のメルマガを購読していないし、本作を含むシリーズ三部作の前二作も読んでいない。今回この本が、仮釈放を含む全刑期を終えた著者が書き下ろした“わず”すなわち過去を振り返る内容が中心だということでがぜん興味を持った。Amazonの内容紹介欄に大した情報がないので簡単にお伝えすると、まず本書は二部構成になっている。前半は『刑務所わず。』と題して著者が出所後、特に刑期を終えたうえで記した“ぶっちゃけ”回想録。そして後半が前作・前々作に続く『刑務所なう。ラストシーズン(最終章)』。
まず第一章『刑務所わず。』部分で驚かされるのはそのエンターテインメント性。あとがきで著者本人も「コミカルに描いた」旨を語っているが、本当に不思議なほど、特殊でベールに包まれた空間が身近に感じられてしまう。例えるなら三谷幸喜氏の映画を見ているかのよう。描写の軸は堀江氏が頻繁に接して来た“人”に焦点を当ててその近辺でおきる名珍場面を通じて、極めて明るい雰囲気で刑務所の内情がみるみる分かる構成になっている。本書の内容紹介からは「刑務所グルメ」や「エロ本差し入れ」など奇をてらったトピックが目立つような印象を受けるが、その実かなり詳細に(あくまで著者の知る範疇と体験した環境において)網羅性をもって刑務所の雰囲気が浮かび上がる文才を披露してくれている。また『刑務所ってこんなとこ』『刑務官ってこんな態度』だけでなく、僕が特に驚いたのは『犯罪者ってこんな人たち』に関して。むしろ刑務所内における服役者たちのキャラや風貌以上に、彼らが自ら語る、犯した犯罪の動機と性向には、あまりにサラッと書かれていることで余計におぞましい。絵空事でなく、一見普通の“彼ら”がいまこのシャバで自分の隣人として共に生きているちょっと恐ろしい現実を再認識させられた。この第一部の締めでは堀江氏ならではの、ご自身で体験したからこそ言える社会への提言もなされ、犯罪と服役と社会について読者にも考えさせる問題提起もしてくれており、この身も脳も引き締めることができた。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話 を買う

アマゾンで購入する
文藝春秋から発売された堀江 貴文の刑務所わず。 塀の中では言えないホントの話(JAN:9784163765105)の感想と評価
2018 - copyright© アマゾン通販の感想と評価 all rights reserved.