Inequality: What Can Be Done? の感想

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タイトルInequality: What Can Be Done?
発売日販売日未定
製作者Anthony B. Atkinson
販売元Harvard University Press
JANコード9780674504769
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

Tony Atkinsonは格差研究一筋の大家であり、『21世紀の資本論』のトマ・ピケティらの師匠でもある。『21世紀の資本論』に対する批判を雑な纏め方をすると、色々な数字を時系列に並べてみたら面白い結果になったということは分かったが格差に対する対策・提案がイマイチ、という感じではと思う。本書は、これに対して本書はサブタイトルでもある通り「what can be done?」ということで対策・提案を重点を置いている。その点については、本書の最初でも「現状の格差が受け入れ難いということを前提に」と書いてあるので本書のスコープが限定的である点にについて曖昧なところはないものの、本書だけを読んでいる読者にはなぜこの前提で全てが始まっているのかピンとこないだろう(たぶん、特に競争を重視し、結果の平等に重きを置かない風潮のあるアメリカの読者はピンとこないだろう)。

序章で俯瞰的に歴史的な状況をまとめたあとは、平等については「機会の平等」だけではなく「結果の平等」も考慮すべきであるという考えのもと、15の対策を提案している。しかし、「なぜそもそも格差が生じたか」という理由を考え、その原因を取り除こうという論調ではなく、「結果がおかしいから最後帳尻を調整しよう」という雰囲気が強く、少なくとも本書を読むだけでは15の対策の評価がしにくい。ざっと読んで、個人的に直ぐに納得できるのは「子供の貧困の是正(結果よりも機会の平等」など5個もなかった。特に再配分を行うための財源を考えると、企業部門での大幅な黒字にも気になるがあまり記載はなく、本書では上位1%など富裕層を念頭においた記載なども多く、富裕層に対するバッシングと誤解されるような雰囲気もある。(「上位1%」というのは家計部門のパイの分配の問題であり、そもそも企業部門が政府部門/家計部門のパイを小さくしているなら書き方も異なってくるはずだ。)

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