妖怪学 の感想

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タイトル妖怪学
発売日2013-10-21
製作者井上 円了
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カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

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著者の井上円了は「妖怪博士」と呼ばれているが、妖怪伝承などの素人研究家などではなく、現在の東洋大学の前身となる「哲学館」を開いた根っからの哲学・心理学者である。

興味本位の憶測論述や、民俗学的な伝承記録ではなく、時間を隔てた「未来予知」や空間を隔てた「遠隔知覚」のような現象を、至って合理的な立場から「偶然の符合」=「偶合」とみなし、真っ向から否定している。

また、現在の感覚からすると、年少者や女子に迷信が多いというような、差別的とも取れる記述もあるが、そのあたりは当時の時代状況も含めて、ここでは囚われるべき本質的なことでは無い。

一つの例として、生まれ年とその人の性根を結びつけるという例を挙げているが、現在の私たちの感覚では血液型と性格の関係のようなものが似たような例であろう。
この手のものは、なるほどそう思えるところもあるが、全てが合っているわけではない。
人間の持つ多面性が、そうしたステレオタイプと合致する部分があるに過ぎない=偶然的な符合すなわち偶合だと言っている。

そして、狸や狐の仕業とされる不可解なことも、我々の知らない合理的な因果関係があり、それが超常的なものに思えるのは、私たちがその原因について無知であるためだと断定している。

本書が書かれた時代を考えれば、非常に開明的な講義本と判断できる。

個人的には時代の近い、地球物理学者の寺田寅彦の随筆集を併読すると、両者に通ずるものが感じられるのでお勧めである。

また時代が時代だけに記述は文語体なので、古典文法に慣れていない方は少々読みにくいかもしれない。

迷信を無くして日本の近代化を進めようとした研究が、いまや日本の貴重な妖怪研究の基礎となっているのは皮肉だけれど、日本人の心にずっと生きていた妖怪、迷信を記録してくれたから、妖怪たちは今も消えずに生きている。

いろいろとためになる。発想がすごい。最近は科学の発展で面白みのあることが無い気がするが、学問としてされたことがすごい。0

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