安全保障のポイントがよくわかる本―“安全”と“脅威”のメカニズム の感想
178 人が閲覧しました
参照データ
タイトル | 安全保障のポイントがよくわかる本―“安全”と“脅威”のメカニズム |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 防衛大学校安全保障学研究会 |
販売元 | 亜紀書房 |
JANコード | 9784750507057 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
タイトルには、安全保障という言葉が冠されているが、扱う範囲は狭い意味での国家安全保障、すなわち軍事のみに限られない。軍事的脅威に加え、経済的危機、疫病、麻薬、環境問題なども脅威と捉えた上で、広い議論が展開されている。「国際政治学」等と冠したテキストと重なる部分が大きい。しかし、顕著な相違点はその体系立てであろう。本書は「何を、何から、どのように守るか」という安全保障の基本命題に従って体系がなされている。
また、本書では理論を説明するために豊富な具体例が提示されている。本書の記述のスタイルとして、まず仮説を立て、具体例を数点挙げながら議論を展開していくという方法がとられている。事例は比較的最近のものも含まれており、ボスニア紛争、北朝鮮問題、イラク戦争なども紹介されており、読者の理解を容易にしてくれる。
さらに、本書は教科書という性格からか、特定の立場に立脚することなくバランスのよい記述が行われている。ある議論を紹介した後に、必ずそれに対しての反論や懐疑論を併せて紹介している。
本書は、自らの安全保障に対する考え方を培うための媒介として好著である。守備範囲が広くなった結果として、各論部分で深い議論が記されていないのはやむをえないが、本書をきっかけとして、どの分野(又はトピック)に関心を持ち、それをどれだけ深めていくかはそれぞれの読者次第であろう。
また、本書では理論を説明するために豊富な具体例が提示されている。本書の記述のスタイルとして、まず仮説を立て、具体例を数点挙げながら議論を展開していくという方法がとられている。事例は比較的最近のものも含まれており、ボスニア紛争、北朝鮮問題、イラク戦争なども紹介されており、読者の理解を容易にしてくれる。
さらに、本書は教科書という性格からか、特定の立場に立脚することなくバランスのよい記述が行われている。ある議論を紹介した後に、必ずそれに対しての反論や懐疑論を併せて紹介している。
本書は、自らの安全保障に対する考え方を培うための媒介として好著である。守備範囲が広くなった結果として、各論部分で深い議論が記されていないのはやむをえないが、本書をきっかけとして、どの分野(又はトピック)に関心を持ち、それをどれだけ深めていくかはそれぞれの読者次第であろう。