立憲的ダイナミズム (シリーズ 日本の安全保障 第3巻) の感想

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タイトル立憲的ダイナミズム (シリーズ 日本の安全保障 第3巻)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784000287531
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

本書のメインテーマは、安全保障を巡る憲法的、法的世界の発掘と可視化であるという。
私的な解釈を加えれば、「発掘」とはいずれ顕在化する火種を露わにすることであり、
「可視化」とは既に生じているジレンマを白日の下にさらけ出すことである。
自衛隊は憲法違反といくら叫んでみたところで、現実には我々の安全保障上欠くべからざる存在になっていることは論を待たない。
あるべき論を排した現実を見れば、それはもはや「軍隊」としての存在と何ら変わるところはないはずだ。
憲法の在り様を、今ここにある危機と照合させたとき、一体いかなる問題が生じるか、本書では様々な角度から論じている。

一例を挙げれば、文民統制である。
昨今の制服組の台頭が文民統制を揺るがす問題として語られる文脈は、
呼称がどうであれ、自衛隊が統制すべき実力組織として認識されていることを示すものだと言える。
これはまさに憲法から導かれるあるべき国家像と現実から要請される積み上げられた国家像の角逐ともいえる現象であり、
漠然とした土台の上で、我々は軍隊と向き合っていることを知ることになる。

日本の文「民」統制は、長い間文「官」統制によって支えられてきたにもかかわらず、文官の凋落がこうも著しいのはなぜか。
それは単に国際関係が悪化したからというだけではなく、元々文官優位の根拠、必然性自体が、憲法的基盤を持たない張りぼてだからだろう。
自衛隊は軍隊なのであるという現実を踏まえない限り、国民による軍隊統制も始まらないというのは、理の当然なのである。

他にも、憲法学と国際法学との関係やインテリジェンスと特定秘密保護法の問題点など、現在的な課題にも果敢に挑んでいる。
過去の自衛隊関連訴訟から見えてくる、新たな法廷戦略の提示などは、辺野古埋立承認取下訴訟を進める上でも、有用な視点を提供してくれると思う。

しかし、内容はかなり難解である。
法学者の書く文章だからと言い訳もしたくなるが、安全保障を真摯に学ぼうとするのであれば、外国語を学ぶような気概が必要なのかもしれない。

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