The Crazed (Vintage International) の感想

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タイトルThe Crazed (Vintage International)
発売日2007-12-18
製作者Ha Jin
販売元Vintage
JANコード登録されていません
カテゴリ洋書 » Special Features » By Authors » Literature & Fiction

購入者の感想

"Everybody was surprised when Professor Yang suffered a stroke in the spring of 1989."何とうまい出だしだろう!この冒頭の一説を読んだ瞬間から、私はこの本に引き込まれた。
修士課程で詩を学んでいる青年Jianの婚約者の父親が脳卒中で倒れた。この父親がJianの指導教官のProfessor Yangである。Jianは毎日Professor Yangを見舞いに行き、そこで秘められた彼の人生を知っていく。
詩に関する東西文化の捉え方の違い、国家の圧力の下に生きていく知識人の一生、愛を求めて愛を得られない男達、様々な見解が交錯する中その機能が崩壊した家族、死を目前に理性と非理性の感覚の狭間に生きる者。現実を受け止め看護しなくてはならない者。"The Crazed"はある人間の死までの過程を通して私達に天安門事件勃発の頃の中国の一シーンを見せてくれる。だが、この本が素晴らしいのは、そうした言葉の枠を取り払ったとしても普遍的に私達の心に訴えるテーマを持っているからだ。
何よりも面白かったのは、Jianが郊外に旅に出てからの終盤の展開だ。ややスローペースな前半の展開がこう活きてくるのか、とその技巧に感嘆するばかりか、徐々に「真実」とは誰かにとってのある場面での確信のことなのかと考えさせられるようになる。天安門事件は確かに衝撃的だった。そうした国家の一大事件がどう人生を左右するかをHa Jinの名文とともに読めることは大いなる楽しみであった。こうしたテーマの小説は数多くあるが、それらの中に「名作」と言われる作品が一つ追加されたと言っても過言ではないと私は思う。

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