From Foot Soldier to Finance Minister: Takahashi Korekiyo, Japan's Keynes (Harvard East Asian Monographs) の感想
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参照データ
タイトル | From Foot Soldier to Finance Minister: Takahashi Korekiyo, Japan's Keynes (Harvard East Asian Monographs) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Richard J. Smethurst |
販売元 | Harvard University Asia Center |
JANコード | 9780674026018 |
カテゴリ | » 洋書 » Special Features » all foreign books |
購入者の感想
明治、大正、昭和初期と時代を駆け抜けた高橋是清の評伝は、掛け値なしに面白い。近代日本の形成に大きく貢献した、伊藤博文、山形有朋、松方正義、井上馨らの後継世代として、近代日本の金融財政政策にその名を残した高橋是清の前半生における、まさに波乱万丈のいきざまは、時代が許容したギリギリのところで踏みとどまり、そこから反転して、決して教養人とはいえないが、数々の実体験をベースにその後のキャリアパスを自ら切り開いていく高橋の凄まじいばかりのパッションは奈辺から出てくるのであろうか。本書前半では前田正名との出会い、そしてそこで受けた薫陶が高橋のその後の思想形成に大きな影響を及ぼしていくことが語られている。本書の山場は、日露戦争の戦費調達のための欧米における高橋の活躍がvividに描かれていることである。大器晩成型の高橋を、多感な少年期から2・26事件ではかなくも散華した高橋の生きざまが、外国人の眼を通して昇華された形で記述されている点に評者は感銘を受けた。