ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書) の感想
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参照データ
タイトル | ロボットの心-7つの哲学物語 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 柴田 正良 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061495821 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 工学 » メカトロ・ロボット工学 |
購入者の感想
これは、「心を持つロボットは作れるか?」という問いに臆面もなく(?)「作れる!」と答えている本です。と言ってもどうせ、「いかにも心を持っているかのようなロボットなら作れる」ってことだろうと思われた方――正解です。じゃあやっぱり、「ロボットにある種の生々しい感じ(クオリア)を伴った心を持たせることまでは出来ないし、実際その必要は無いだろう」とか何とか言ってお茶を濁すパターンなわけだと思われた方――残念でした、不正解です。著者が「心を持つロボットは作れる」と言う時、それは紛れもなく、私たちが現に持っているような種類の心、つまりクオリア込みのそれに他ならないのです。素朴な物理主義という考え方を採る著者の挑戦が始まる!「ロボットの心」を論じるにあたっては、もちろん「私たちの心」について考察することが必要でしょう。ですから本書で展開されているのは、実は歴とした「心の哲学なのです。クオリアの問題ばかりか、それと関連して著者は、今までなぜかこの分野ではあまり真剣には論じられて来なかった「感情」の役割に関する問題にも果敢に取り組んでいます。また、7つに分けられた章の始めにそれぞれ語られる、ちょっと寓意的なショート・ストーリーが興味をソソるんです。そんなこんなの本書は、様々な企みに満ちた画期的で楽しい「心の哲学」の本だと言って良いでしょう。0