ピアニストが見たピアニスト―名演奏家の秘密とは (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトルピアニストが見たピアニスト―名演奏家の秘密とは (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者青柳 いづみこ
販売元中央公論新社
JANコード9784122052697
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

ちょっと意表を突くピアニストの選択だがマニアには楽しめる しかし誰が読んでも面白く一気に読める優れた著作だろう
続編をどんどん所望したくなる

『ドビュッシー〜想念のエクトプラズム』にも感銘を受けたが、本書も面白い!

リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチ、フランソワ、著者の師匠ピエール・バルビゼ、ハイドシェックに就いてのピアニスト青柳いづみこが見たピアニスト論であり、印象記、エピソードに関するエッセイ、演奏論にもなっている。この多面性が著者の持ち味であり、批評家でもなく音楽学者でもないが、その素養をも十二分に併せ持った現役演奏者による音楽論と言えよう。これが面白くないわけがない。

やはり、リヒテル、ミケランジェリ、アルゲリッチの“超大物”3人の項が白眉だ。リヒテルとミケランジェリに就いては、評者はよいリスナーとは言えないが、本書を読んでみてもう一度虚心坦懐に聴きなおしてみようと思わせた。特にリヒテルだ。

リヒテルは不遇のヴェデルニコフの演奏を十二分に評価して、彼の不遇に心を痛めていたのだという。この一節に触れるだけでも、リヒテルを改めて聴きなおそうと思わせるではないか。

リヒテルとヴェデルニコフはともにネイガウス門下の俊秀と謳われていたが、周知の通り、リヒテルは本国ソ連でも西側でも“カリスマ”視されていた。
片やヴェデルニコフは西側での演奏を禁じられ、そのキャリアはほぼソ連圏内に限られていたようだ。ヴェデルニコフの経歴に就いては、いまやあまり店頭でも見かけなくなった彼のディスクのライナーノーツを読んで欲しい。まことにまことに痛ましく、ここにソ連下の藝術家(知識人)の“悲劇”の典型を見ることもできる。ショスタコーヴィチ、バフチン、メイエルホリド、トカチェフスキーなど“様々な悲劇”のなかのひとつとして。

青柳はあくまでそうした悲劇には直截的には触れていないが、他方リヒテルのほうにはどういう処世があったのだろうか? いくつか翻訳も出ている彼の伝記や評論、自伝的なインタビュー等も読みたくなった。

ミケランジェリに青柳は「イリュージョニスト」を冠しているが(引田天功?)、リヒテル同様にそのライブに接し得なかった者としては、次の一節に深い印象を受けた。やはりこうした雰囲気だったのか。

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