13歳からの論理ノート の感想

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論理思考と、子供向けに論理的なコミュニケーションを教えることに関心があり、本書のタイトルが目に入り購読しましたが、少々期待を裏切られた感があります。本のタイトルと想定している読者層は一致しているのでしょうか？

　本書前書きには、本書によって「論理的」の意味を完全に理解しよう、と書かれていますが、論理的であることによって何が得られるのか、については全体を通してほとんど書かれていません。「論理的」の意味を理解していない人、とくに若年層にまず必要なのは、「こうすれば論理的になれる」ということよりも、「『論理的』は○○だから大切」「『論理的』だと××だからうれしい」を知ることだと思いますが、この本にはその部分が欠けていると思います。
　次に、「論理的」の説明は比較的短い文で書かれており、若い読者の思考持久力に配慮していると感じられた反面、いくつかの点で説明者の忍耐力が欠けてしまったのではないか、と感じられた箇所がありました。
　まず英単語を引用している箇所が何箇所かあります。英単語の意味や文化の違いを理解している人には、「論理的」を知る一助となるかもしれませんが、まだ幅広い知識や外国語能力を持たない若年層を読者として意識しているのであれば、日本語という言語の特徴を踏まえつつ、もう少し粘り強く日本語で「論理的」であることの説明を展開して欲しいと思いました。

　日本と欧米で好まれる表現や受け取られ方の違いの説明も、文化の違いを越えたコミュニケーションという視点で参考にはなりましたが、そのような目的を前提に置いた記述にはなっていないために、若い読者層には、「論理的であるためには欧米の人たちの言語や表現を学べばよいのか（学ばねばならないのか）」というような誤解を与える恐れもあるように思います。
　以上いくつかの点については、想定している読者が異なれば、評価も異なる点だと思いますが、冒頭記したとおり、もし「13歳から」を想定しているのであれば、「論理的」であることがもたらすもの、「論理的」でないために困ること、「論理的」であるだけでは足りない点など、実践を意識した部分があると良いのではないか、と思いました