聖地巡礼 - 世界遺産からアニメの舞台まで (中公新書) の感想
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参照データ
タイトル | 聖地巡礼 - 世界遺産からアニメの舞台まで (中公新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 岡本 亮輔 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784121023063 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 » 宗教入門 |
購入者の感想
真面目に書かれた、よく分析された本です、国際的な観光地も非常に良く調べ上げてあります。
現代社会にみられる聖地巡礼&ツーリズムの諸相を多彩な事例から概観した上で、そこから今日における宗教と聖性の変貌を考察した本である。宗教/観光研究の入門書であると同時に、宗教社会学の最先端的な議論の一端を手軽に学ぶことのできる良書でもあるだろう。
これまで人々の生きる意味などを左右してきた伝統宗教の衰退が各所でささやかれるなか、人と人との新しいつながりや個々人に固有のものっぽい物語や体験に基づく快楽が、随所で発生しそれが高く評価されたり、あたかも聖なる何かであるかのように論じられたりするのが近年に顕著な傾向である。そうした風潮が典型的に見られるのがまさに聖地巡礼の現場であり、本書は、「信仰なき巡礼者」が実践するサンチャゴ巡礼や、行政やユネスコのまなざしのもと宗教文化の選別や編集の行われる世界遺産の数々、オカルト的想像力が新しい伝統を創造する青森のキリストの墓、あるいは各種メディア特にネットの力が現実に作用しまくる好例であるパワースポットやアニメの聖地巡礼などを例に、その現代的動向を多角的に論じている。
これから僕たちはどんな聖性を信じて生きていくのか。そこにおいていままでの宗教はどのように位置づけなおされるのか。本書はそうした不透明な未来のあり方について考えていくうえでの極めて有益な一冊である。
これまで人々の生きる意味などを左右してきた伝統宗教の衰退が各所でささやかれるなか、人と人との新しいつながりや個々人に固有のものっぽい物語や体験に基づく快楽が、随所で発生しそれが高く評価されたり、あたかも聖なる何かであるかのように論じられたりするのが近年に顕著な傾向である。そうした風潮が典型的に見られるのがまさに聖地巡礼の現場であり、本書は、「信仰なき巡礼者」が実践するサンチャゴ巡礼や、行政やユネスコのまなざしのもと宗教文化の選別や編集の行われる世界遺産の数々、オカルト的想像力が新しい伝統を創造する青森のキリストの墓、あるいは各種メディア特にネットの力が現実に作用しまくる好例であるパワースポットやアニメの聖地巡礼などを例に、その現代的動向を多角的に論じている。
これから僕たちはどんな聖性を信じて生きていくのか。そこにおいていままでの宗教はどのように位置づけなおされるのか。本書はそうした不透明な未来のあり方について考えていくうえでの極めて有益な一冊である。