紫影のソナーニル Refrain –What a beautiful memories- の感想

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起動してすぐ、Rita嬢のムーディーでカッコイイ歌声と共に流れるopムービーに否応なく高まる期待感。
そして始まる謎と幻想に満ち満ちた世界はココロに心地よく、
遊んでいて不思議な感覚に囚われる事になるでしょう。

このゲームの体裁こそはノベルゲームと分類されますが、
少し読み進めれば定型からは外れた挑戦的スタイルに驚きます。

心情描写は短く、多く、小刻みですが力強く。
文体のクセは強いですが、印象を強く焼き付けるのが特徴。
ですが一番の特徴は、まるで紙芝居（いい意味で）を語り聞かせられるような語りと
テキストとボイスを巧みに利用した仕掛け。

ボイスの読み飛ばしをユーザーに躊躇わせるようなこの仕掛けは、
定型のノベルゲームを遊んできたユーザーにテキストとボイスの存在意義、というモノを考えさせるかもしれない。
芝居の演技にテキストでルビをふったものをゆっくりと噛みしめるように読み解けば、
この異質な世界もこの独特のスタイルも全てがこのゲームを独特な物に形作っている事に気づかされます。

シナリオこそがノベルゲームの魅力の８割だと思っていた自分にそれだけではないと思わせるには十分のクオリティでした。
テキスト、ＣＧ、ボイス、サウンドどれも重要な要素であるし、クオリティは守るべき。
でも、こんな定石の殻を破ったソナーニルのような挑戦的な作品があって欲しいと切に願う。