暴力の人類史 上 の感想

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タイトル暴力の人類史 上
発売日販売日未定
製作者スティーブン・ピンカー
販売元青土社
JANコード9784791768462
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

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どうやって人類は発展してきたのか、経済的に発展している国とそうでない国の違いは何なのか。戦争ばっかりしている人たちって、なんでそうなのか。ピンカーの本書は、「暴力」の観点から、人類の発展を論じている。

強力な結論は、「人間社会における暴力(戦争、殺人、暴力犯罪、レイプ、、、)は有史以来減り続けている」というもの。これは意外に思われるかもしれない。もっとも凄惨な戦争がおこった20世紀についても、全体を通じてみると、この平和化のプロセスは続 いていた。戦争により死亡する人の割合は、先史時代の遺跡からのデータでは、5‐50%におよんでいた。平均は15%くらい。国家を持たない狩猟採集民でも14%程度。国家社会の統計を取ると、これはものすごく低くなって、1%未満。国家の誕生が暴力の発生に強い歯止めをかけたということだそうだ。暴力を取り締まる装置として国家が、うまく機能したと。第二次世界大戦は、確かに史上最大規模の死者を出した戦闘だったが、実は、人口比に直すと、過去、それ以上の規模の戦闘が起こっている。第二次世界大戦の死者数は5500万人とされているが、たとえばモンゴル帝国の征服(13世紀)では、4000万人が死亡したとされ、現代の基準に直すと2億7800万人の死者数となる。両者ともにとんでもない数だが、いずれにせよ 、第二次世界大戦が過去最悪の戦争だったとは言い切れない。それと、戦争はだんだん大規模かしているかもしれないが、もしかすると、本当に第二次世界大戦が最後の大きな戦争ということだって、大いにありえる。著者は統計学の考え方を使いながら、そのテーゼについて論証している。これは結構おもしろい。(第5章)。 国家ができた後の、おもな暴力の(戦争の)原因は、宗教とイデオロギーだった。啓蒙主義、人権思想の発展、共産主義や全体主義の衰退、にともなって、これらを原因とする暴力は格段に減った。あと、暴力事件を起こすのはたいてい男性だが、20世紀における女性の権利の広がりも、暴力の減少に寄与しているのではないかと著者は言っている。ただし、サッチャー は弱腰のジョージ・シュルツをバッグで殴ったらしい(^_^;) 上下合計1300ページと、むちゃくちゃ長いのであるが、読んで損しないと思います。(ひまだったら)。

 アフリカでの内戦、過激派組織によるテロ、未成年者による猟奇的殺人。そんなニュースに日々接していると、現在のこの世界はなんと残酷で、なんとひどい暴力に満ち溢れているのかと思う。しかし、本書の著者スティーブン・ピンカーによると、じつは暴力は歴史的に減少している。しかも、ただ減少しているというのではない。数千年、数百年、数十年というどの時間尺度で見ても減少しているし、また、戦争から体罰に至るまで、さまざまな形態の暴力が減少しているのである。「信じられないような話だが」と断ったうえで、ピンカーは冒頭でこう述べる。「長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれないのだ」(上巻11頁)。
 スティーブン・ピンカーは、心理学や言語学において業績のある、世界的に著名な研究者である。また、その文才もよく知られるところで、『言語を生み出す本能』や『人間の本性を考える』(いずれもNHKブックス)などのヒット作を生み出している。本書は、そんな才人が「暴力の歴史」というテーマに挑んだ大著である。なお、2011年刊行の原書は800頁を超え、今回の邦訳書は上下巻あわせてなんと1400頁ある。それだけの大著であるから、以下では議論の細部は割愛して、議論の大枠だけを紹介することにしたい。

[本書の主題]
 さて、本書のおもな目標はふたつある。ひとつは、すでに述べたように、暴力が歴史的に減少しているという事実を明らかにすること。またもうひとつは、どういった暴力が、いつ、どのように、なぜ減少したのかを明らかにすることである。そこで、それらの点を明らかにするべく、ピンカーは次のように議論を進めていく。

[本書の構成]

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青土社から発売されたスティーブン・ピンカーの暴力の人類史 上(JAN:9784791768462)の感想と評価
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