Bag Of Bones の感想

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　この小説に、‘Pet　Sematary’のような恐怖を求める事はできないけれども、抒情を存分に堪能する事ができると思います。
　妻を突然の病気で失ったMichel　Noonanが主人公です。彼は妻の死後、小説を書けなくなってしまい、crossword　puzzleにうつつを抜かす毎日を送ります。小説の前半では、実名の有名小説家が多数登場します。そういう話題を挿入したのも、Kingがこの小説への親近感を持たせたかったからかもしれません。
　別荘での不思議な出来事や、若い女性とその可愛らしい娘が登場する事は、この小説に関心のある人ならば知っている事なので省いてしまいましょう。この小説では、Kingが何時になく文章に抒情的なものを盛り込もうと懸命になっている姿が浮かび上がってきます。他の作品でも抒情は求められるのでしょうが、Horror小説家として有名なKingがここまで文章にこだわったのを見たのは初めてでした。Kingは少なくともこの小説においては、とても文章のrhythmを重視しているように思われます。
　あとがきでKingが、この小説が読者に少なくとも一晩は眠れぬ夜をもたらす事を望んでいる、と記していますが、残念ながら私にはありませんでした。けれども、彼の文章を楽しむ事はできたようです。