鹿男あをによし (幻冬舎文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 鹿男あをによし (幻冬舎文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 万城目 学 |
販売元 | 幻冬舎 |
JANコード | 9784344414662 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者 |
購入者の感想
『鹿男あをによし』。前作『鴨川ホルモー』と同様、「なんじゃそりゃ?」と、思わず書店で手を伸ばさずにはいられない、奇妙なタイトルと、可愛らしい表紙絵の組み合わせが素晴らしい。
自意識過剰な主人公が、古都を舞台に、神様(に近い存在)の気まぐれに翻弄されながら奮闘する。そして、第一印象はパッとしないけど、一皮剥けば輝くツンデレなヒロインが、思わぬ形で主人公の行動に絡んできて大活躍―――。
前作の基本的な構造を踏襲しつつも、脇役たちの作りこみ、物語のテンポなど、いたるところに進歩が見受けられる良質な青春ファンタジー小説です。巧みな風景描写で実在する土地の魅力や雰囲気を引き出しつつ、マニアックになり過ぎない程度に歴史ネタや神話ネタを物語に落とし込むのが、この作者は本当に巧い。
ただ、これは『鴨川ホルモー』の時もそうだったのですが、少し穿った読み方をしてしまうと、周囲とのコミュニケーションの軋轢に苦しみ、そのくせ原因を自分に追求することが出来ず、ひとり悶々と燻っているような男のための(レビューを書いている私自身、少なからずそういう部分がある人間です)、ドリーム小説に思えてしまう一面も。
すかした口調で物語を進め、自己中心的なきらいさえある主人公が、新天地ではいわゆる「選ばれし者」となり、(その性格のわりに)理解者や協力者に恵まれ、自分からは特にアプローチせずとも、素敵な女の子の方から好意を寄せてくれる展開が、少し出来すぎているというか、うらやましいというか………。
自意識過剰な主人公が、古都を舞台に、神様(に近い存在)の気まぐれに翻弄されながら奮闘する。そして、第一印象はパッとしないけど、一皮剥けば輝くツンデレなヒロインが、思わぬ形で主人公の行動に絡んできて大活躍―――。
前作の基本的な構造を踏襲しつつも、脇役たちの作りこみ、物語のテンポなど、いたるところに進歩が見受けられる良質な青春ファンタジー小説です。巧みな風景描写で実在する土地の魅力や雰囲気を引き出しつつ、マニアックになり過ぎない程度に歴史ネタや神話ネタを物語に落とし込むのが、この作者は本当に巧い。
ただ、これは『鴨川ホルモー』の時もそうだったのですが、少し穿った読み方をしてしまうと、周囲とのコミュニケーションの軋轢に苦しみ、そのくせ原因を自分に追求することが出来ず、ひとり悶々と燻っているような男のための(レビューを書いている私自身、少なからずそういう部分がある人間です)、ドリーム小説に思えてしまう一面も。
すかした口調で物語を進め、自己中心的なきらいさえある主人公が、新天地ではいわゆる「選ばれし者」となり、(その性格のわりに)理解者や協力者に恵まれ、自分からは特にアプローチせずとも、素敵な女の子の方から好意を寄せてくれる展開が、少し出来すぎているというか、うらやましいというか………。