人の砂漠 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル人の砂漠 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者沢木 耕太郎
販売元新潮社
JANコード9784101235011
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

40年前の古いノンフィクションで、背景が今と大きく異なり
社会に帯びている熱のようなものに、やや違和感を覚えるが、
時代という衣装が変わっただけで、
そこで生きる人間に本質的な違いはない。
市井の片隅で逞しく生きる人々を、沢木氏は一貫して
優しく、あたたかく、少し哀しい視線で描いている。
ここで取り上げられている人々は本書の説明にあるように
社会的には敗残者になるのであろうが、
そんなつまらない評価はどこ吹く風で
登場人物達は自らの与えられた人生を、必死に気高く生きている。
事実を繋ぐことがルポタージュであるなら、本作品はルポタージュに
留まらない。事実という迫力に加えて、普遍的な真実が
しっかりと伝えられている。

二週間の休暇にこの古ぼけたこの本とともにアジアに旅に行った。
裏表紙から「ミステリアスな濃厚ルポ」という感じの印章を受けたが、
実際は作者の文章力からとにかく読みやすい。

しかし、内容はというとやはり濃厚。
売春婦の収容施設「棄てられた女たちのユートピア」
クズ集めを取り仕切る小さな工場の話しの「屑の世界」が特にお気入り。
旅先で読んでいるとこの本に出てくる物語が、日本での話なのか、どこか遠い国の話なのかわからなくなることが多かった。
これは内容が30年前の話なのに、あまりにも普段の生活(世界)からはかけ離れたルポだという事と、
おそろしくリアルなルポだからということだと思う。

読んでるうちに当時の作者の年齢が自分と同じくらいと気づいた。
この作者を知らなかったことを後悔したと同時に、
これから沢山の著作を読めるということをうれしく思った。

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