はじめてのノモンハン事件 (PHP新書) の感想

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参照データ

タイトルはじめてのノモンハン事件 (PHP新書)
発売日販売日未定
製作者森山 康平
販売元PHP研究所
JANコード9784569801810
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

いきなり突拍子のない表題で恐縮ですが、本書の「おわりに」の最後――ほんの数行に、「ノモンハン事件で見られたような、日本の組織が抱える『官僚的な無責任体質』は太平洋戦争の敗戦から六十七年後の今日、払拭されていると言えるだろうか? 東日本大震災による福島第一原発事故に対する日本政府・東京電力・電力業界の姿をつぶさに見ると、『大いに疑問なしとしない』のである」(要約)とボソッと著者が書いていますが、これだけでも本書の評価は高まると思います。すなわち、「自分に都合の悪いことは隠蔽し、責任は下へ行くほど重く問いかけ、重圧で自決に追いこむことも厭わない」(本文)日本的な『巨大組織』の悪しき面は、今だって本質的に何も変わりないのです。

さて、他のレビューにもありますが、ノモンハン事件の入門書としては『ピカイチ』の内容だと思います。というのも、ノモンハン事件はとにかく複雑怪奇で分かりにくい。まず規模は『戦争』なのに名前が『事件』なので、最初の一歩から誤解します。また航空戦や戦車戦など、日本軍が善戦した部分、見せ場となる部分、あるいは悲惨な肉弾戦などが『針小棒大』というと語弊がありますが、局部的に語られることが多いため、余計に全体像が分からなくなります。結局、日本軍は善戦したのか? やはり大惨敗なのか? 戸惑うことばかりです。さりとて「ノモンハン事件には、太平洋戦争の敗因がすべてある」と言われるように、いやしくも軍事を志す者ならば、ノモンハン事件を理解することは避けて通れないテーマでしょう。その辺にコンプレックスを抱いていた方も多いと思われます。

本書は、そうした複雑なノモンハン事件の『戦闘面』での全体的な流れを、「両岸攻撃の失敗・戦車部隊の壊滅」「重砲兵・総攻撃の失敗」「築城命令・第六軍創設」「ソ連軍・八月大攻勢」「日本軍・最後の攻勢移転の失敗」「玉砕・撤退」など、トピックごとに時系列を分かりやすく解説しています。まさに『目からウロコ』というか、今まで雑誌や書籍で断片的に読んだけれど、ノモンハン事件の全体像をうまく理解できなかった人は、あまりの分かりやすさに『感動』すら覚えるでしょう。本気でお勧めです。

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