64(ロクヨン) 上 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル64(ロクヨン) 上 (文春文庫)
発売日2015-02-06
製作者横山 秀夫
販売元文藝春秋
JANコード9784167902926
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

警察組織の人間模様の機微が詳細に描かれていて
とても勉強になった。
ただ、登場人物の心象風景の描写がややピントずれしているところがあり、
展開も遅く、もっとコンパクトにまとめられたのではないかと思った。
最後は予想を裏切る結末で、十分に迫力があったが、
本作のもう一つの幹である失踪したあゆみの結末に大いに不満を持った。

さすがとしか言いようがない。
これぞ横山秀夫というべき圧巻の一冊。

昭和64年に起こった幼女誘拐殺人事件。
物語は未解決のこの事件を中心に構成されていくのだが、それ以外にも同時進行で多くのサイドストーリーが展開されていく。

まずは、D県警の刑事部と警務部の内部対立の問題。
主人公の三上は現在は広報官であるが、元刑事であり、その事による葛藤や嫉妬といった複雑な感情が詳細に描かれている。

そして、警察庁vsD県警、つまり東京と地方の対立問題。

さらには匿名報道をめぐっての記者クラブと広報室の対立。

おまけに、三上の娘は失踪しており、それに関する父と娘、夫と妻といった家庭問題。

これでもかと言わんばかりに三上の周囲には問題が次々と起こってくる。

どれをとっても一つの小説が出来上がりそうな深い内容のテーマだが、「64」ではこれらが同時進行で起こる。
そして物語の後半では、現在進行形のこれらの問題と、昭和64年の誘拐殺人事件が複雑に絡み合ってくる。

並の力量ではとても書ききれないほどの複雑さ!
それを横山秀夫は一つの物語として見事に収斂させていく。

組織と個人の関係とは? 組織の在り方とは? 職責とは何か? 報道の自由とは何か? 地方と東京の関係性とは? etc…

多くのテーマが内包されている超ド級の警察小説。
大満足の一冊だった。

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