イスラーム 生と死と聖戦 (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトルイスラーム 生と死と聖戦 (集英社新書)
発売日2015-02-17
製作者中田 考
販売元集英社
JANコード9784087207644
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » イスラム教 » 一般

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購入者の感想

湯川さん解放のために一度はシリア入りした中田さんの本です。
この本は身代金要求が出る前に書かれたと思われ、人質事件についてはほぼ触れていません。

第1章から4章まではイスラム教自体について書かれています。
そして第5章からはイスラム国も掲げる「カリフ制再興」について書かれており、この辺から興味深く読めます。
ムハンマドによるイスラム教誕生から正統カリフの時代、そしてカリフなき時代と解説し、現在カリフを名乗るイスラム国について書かれています。
イスラム国については他にわかりやすい本があると思いますが、カリフ制再興についてはこの本がわかりやすいと思います。

イスラム国事件に関連して、毀誉褒貶が激しい人の著作である。集英社新書も中々やるものだ。

 氏はイスラム教は寛容の宗教であると述べている。巷で言われる「剣かコーランか」は誤りで、正しくは
「剣か税かコーランか」であって、異教徒であっても税さえ納めれば域内での信教の自由を認めるという。
また、歴史学者のトインビーが古いキリスト教の宗派が残っているレバノンを「宗教の博物館」と形容したという
事実も指摘している。異教よりもキリスト教の異端を激しく根絶した西欧にはこの宗派は残っていないのであろう。
イスラム教徒はアッラーさえ信じていれば全員天国に行けるのが基本というのも、キリスト教よりも寛容な印象を
受ける。他にも一神教と多神教、アニミズムの違いなどとても腑に落ちる観点を提供してくれた。

しかし、第五章で国民国家を解体し、人間の完全な移動の自由を理想とするという氏の思想が語られ始めるが、
さすがに少し空想的すぎる感がある。何だか「地球市民」を標榜した元おバカ総理を連想させる。また、北大生を
イスラム国に紹介したという事実を何のおくびもなく書いていることも疑問である。彼らがどんな蛮行をしでかしているか
は氏が一番知っているはずである。そんな所に日本人を送ればどうなるか考える良心は無かったのであろうか。

全体的に「です・ます調」で誠実さを感じるのだが、それが実はカムフラージュではないかと邪推してしまった。

中田考師のイスラム法学者としての、哲学や思想がよくわかる本です。そして、それは忠実にイスラム法学に基づいていますから、結果的にイスラム法学を知ることができると思います。イスラム法学については、この本を読めば十分外延は簡単に理解できると思います。興味も出てくると思います。非常にまとめが上手です。著者の頭の良さがひしひしと伝わります。イスラム法は、簡単にいえば倫理+法律だということだと思います。ですから、構成自体は、仏法のようなものだということです。ですから、近代法と相いれない部分がかなりあるように思いますね。それと勉強になったのは、イスラム法というのはかなり抽象的で解釈の余地を生む幅が大きいということ、そのために解釈するイスラム法学者が必要であるが、解釈を示すイスラム法学者は何も、イスラム法学を専門的に勉強した人間でなくてもいいということです。これは、ある意味で、イスラム法が開かれたものである、自由なものであるということでありますよね。私は、そこに民主主義的なものを見ました。しかし、やはり人間が介在しない、法であるからこそ危ういのかもしれません。いうなれば、神のための民主主義なのかもしれません。そのほか、ジハード論やカリフ制など、筆者の専門分野など詳しく書いてある部分もあるので、読んでよかったと思えます。800円でこれが読めるのは、十分価値があると思います。ただ、筆者やイスラム法学を全面的に支持はしませんし、筆者の論も批判できる箇所は多少なりともあります。今回は、書評かつ、専門分野外なので、致しませんが、このような疑問に答えてもらえる機会などがほしいものです。

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