目撃者 の感想

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タイトル目撃者
発売日販売日未定
製作者エルンスト ヴァイス
販売元草思社
JANコード9784794219763
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

 
誰しも不思議に思うことだろう。あの第三帝国に君臨する前のはるか以前の、毒ガスにやられ、目は見えず、極度な不眠症に苦しんでいた、A、ヒットラーの真実の物語が浮かび上がる。其の日の食い物にも困り、傷病棟にて、ユダヤ人をのろい、時おり大きな声で愛国を叫んでいた男が、主人公の私の心理療法により、あたかも啓示を受けた者のごとく、
目くらを装うことすら止め、一人の預言者のごとく大ドイツを叫びはじめる真実の物語である。
自分でも、そのうそに満ちた演説をきくと、我知らずひきこまれるが、大きなうそか、小さなうその波を伝える者の誕生である。しかし、その熱狂は、いや其の熱狂こそが、啓示をけた、神聖なもののように人々を巻き込み、もはや誰をも信じられないほどの力を生み出し、誰しもが持っている暴力への誘惑をあざ笑うがごとく、収容所をつくり、全ての苦しみを生み出していく。

私、つまり精神科医である。本人にもその秘密を知るものとして、襲い掛かかられる。人々は政治にはとうに興味を失い、其の熱狂にすがる。そのうずにより、本人が、とうとう収容所にぶち込まれ、尋問され、皮のムチで毎日、拷問されるはめになる。

ここで、目撃者である私は、自分が生み出したものが、途方もなく暴力的で、あらゆるうそにまみれた存在が、何たるかを知る。
出てくる、私の母、父、大叔父である富豪のカイゼル、とその息子、恋人や妻、誰一人となくユニークな存在である。そのことが、この小説を史実とともに読むものに、息もつせぬ迫力でせまってくる。一人ひとりが濃いのである。優れた小説は、ある面、その作者が生きた歴史の骨だけではなく、血と肉となり、そのとき生きた人の時代を表現できるものである。これを読まなければ近代ドイツに突然と現れた、かの男、A.Hがいかに生まれたかが決してわからないであろう。

そこには、スターリンや毛沢東などのような無慈悲さとは一線を画す、なにかヨーロッパ的ななにかがあることがわかる。

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