脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか の感想

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なぜ時間は伸びたり、縮んだりするように感じられるのだろう？　楽しい休暇はあっという間に過ぎるのに、後から振り返ると長く続いたように思う。・・・これは著者が「ホリデー・パラドックス」と名づけている感覚だ。私たちがいつも時間を「予期的」「追想的」の二つの見方をしているために、こうしたズレが起こるのだという。ふだんはあまり意識することのない「時間」の不思議について、ほかにもたくさんの研究をもとに紹介している。

・脳はいろいろな部位がいろいろな時間を知覚している（それなのに、なぜ私たちは一つの時間が流れていくように思うのか）
・感情を処理するのと同じシステムが、リズムを数えるのにも使われているかもしれない
・記憶があてにならないからこそ、未来へのタイムトラベルが容易になる
・文字の表記のしかた（左から書くか、右から書くか・・タテ書きか、ヨコ書きか）によって、時間の感じ方が異なる
・自分が未来に向かっていくタイプ、未来が自分に向かってくるタイプ・・に分かれる
・将来を想像するのと、過去を思い出すときに使われる脳の部位は、同じ「海馬」だ

以上、私が気になった本書のポイントだ。なお、本書は「時間の心理学」の格好の入門書といえるが、巻末の豊富な「参考文献」はさらに探究するためのガイドとしてなかなか使える。