刑事マルティン・ベック 笑う警官 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル刑事マルティン・ベック 笑う警官 (角川文庫)
発売日2013-09-25
製作者マイ・シューヴァル
販売元角川書店
JANコード9784041010174
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

気になっていた名作、漸く読みました。よかったです。

独特の硬質で陰鬱な都会の雰囲気、陰惨な事件、派手なスターは
いませんが普通のしかしながら使命感を持った警察官たちが
積み上げていく事件解決までの道のり・・・味があると思いました。
そして男女ペアの著者によるバランスの取れたストーリー展開でした。

新旧翻訳論争は旧訳を読んでいないので分かりませんが、私は新訳で
十分堪能できました。 

旧訳は瑞語からいったん英訳された版を邦訳したものであり、新訳は瑞語版から直接訳されたもの、という点がポイントだそうだ。
それにしても、1968年に出版された作品が、何ゆえ今ごろ新訳で? と気になったので読んでみたのだが、率直に言えば「がっかり」だった。
高見訳の旧版は30年以上も昔に全巻読んでいる。
で、新訳の読後の違和感が気になり、その高見版を書庫から発掘して続けざまに読んでみたのだが、やはり筆の力量は高見訳のほうが格段に上だ。

より原著に近い新訳ならではの「翻訳の精度」という点についてもなんだかなあ。
たとえば凶器について「銃身が木製の…」(新訳)なんてゴム鉄砲じゃあるまいし、これは「木製の握りがついている」(旧訳)が適訳。(要するに木製なのは鋼鉄製の銃身ではなく銃床のほうだ)
さらに「七十発の銃帯を肩にかけるタイプ」(新訳)と意味不明の記述が続くが、この「銃帯」って死語は、西部劇でおなじみの「ガンベルト」のこと。さすがにこれはない。
これ旧訳では「七十発の弾帯」だったが、じつはこちらもいまひとつ。
各々の原著での表記がどうなっているか知らないが、これはドラムマガジン(渦巻状に銃弾を収容する円盤形の弾倉。ただし、正確には71発を収容)を指している。
その直径は20センチぐらいのもので、もちろん肩にかけたりしない。だからこそ犯人は、コートの下に隠せる程度の大きさの凶器でも67発もの連射が可能だった。

そう、トンカチじゃないんだから「打ち続け」(新訳)たわけじゃなく「撃ち続け」たのだ。
校正も甘いね。

さて、新訳版で最大のポイントは、コルベリの最後のセリフだろう。
旧訳版では存在しなかったこの一行が、いつ、どこで、なぜ現れたのか、あるいは省かれていたのか、本書の登場で最も興味深い謎となった。
個人的には、旧版の終わらせ方のほうが余韻があって好きだけどさ。

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