いやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳 の感想

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参照データ

タイトルいやされない傷―児童虐待と傷ついていく脳
発売日販売日未定
製作者友田 明美
販売元診断と治療社
JANコード9784787819123
カテゴリ » ジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 小児科学

購入者の感想

 虐待関係の本は沢山ある。こどものトラウマやその後の成人期に与える臨床的な知見を集めた著書は幾つか読んで来たが、この本は脳という生物学的な見地から書かれた本であり、専門的な話も多いので、ある程度の知識を必要とすると思う。

 虐待というストレスフルな状況が可塑性を持った諸刃の剣である脳の形成や機能に影響を与えるということは、将来にわたって決定的な障害を与えかねないということがよく分かる。

 仮説、検証、反証、論議とエビデンスを並べて書かれてあり、様々な文献の引用があることで、説得力が増している。結局結論として現段階では研究段階であり、複雑に入り組んだ脳の問題に対して、ある一定の結論を導き出すことの方が危険であるというのも分かる。

 海馬や扁桃体の容積に明らかな虐待の形跡を見る・・というのであればその後の記憶や学習、情動の統制や機能などに影響を与えかねないというのも明らかである。

 幼少期の体験が与える意味をもっと真摯に受け止め、子ども一生に影響を与えかねないということを理解することを抽象的な思索に留まらず、脳神経学的な視点からも理解することで、関わりに生かしていくことが必要ではないだろうか。など、考えさせられた。

 ネタが転がっている・・という感じでもある。

 ここから境界性人格障害やPTSD、解離性障害などの理解に役立つ話も出て来る。

 原因と結果は一対一ではないだろう。

 社会的、心理的、精神医学的、生物的など様々な要因が関わって行動や症状が導かれている。

 専門家は自分の得意な領域から考えていくことが大事ではあるが、多くの視点を持って統合的に見ていくことが求められている臨床の世界では、この様な角度から虐待を捉えることも必要ではないかな・・・などなど、考えるネタを提供してくれる。

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