ミラーニューロン の感想

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タイトルミラーニューロン
発売日販売日未定
製作者ジャコモ ・リゾラッティ
販売元紀伊國屋書店
JANコード9784314010559
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購入者の感想

言語の起源は、動物の鳴き声が進化したものだと思っていた。本書を読むまでは。

コーヒーの入ったカップを手に取るという一見単純な動作の裏側には、大脳皮質レベルでの複雑なニューロンの相互作用がある。大脳の運動皮質のうち、F5野と呼ばれる領域で、コーヒーカップの視覚情報をもとに、物をつかむ手の運動情報への変換が行なわれる。カップを見るだけで、実際に物をつかまなくてもニューロン(感覚−運動ニューロン)が発火するのである。

このF5野から、カップなどの対象物を見ただけでは発火せず、実験者が対象物に手を伸ばすといった運動行為をするのを見た時にだけ発火するニューロン(ミラーニューロン)が発見された。感覚−運動ニューロンが自己の行為を準備する役割を持つのに対して、ミラーニューロンは、「他者が実行した行為」の意味を理解することにあるというのが著者の主張である。

動作から他者の意図を理解することが脳に書き込まれた原始的なコミュニケーション機能であるとすれば、さらに進化したコミュニケーション手段である言語は、鳴き声が進化したものではなく、動作によるコミュニケーションに音声が付加したものであると理解される。ミラーニューロンが発見されたF5野は、手と口の運動が表象された領域であることも、この仮説の有力な根拠の一つとなっている。

なぜ人間だけが言語を高度に発達させることができたのか。その答えが、二足歩行により大きな自由度を得た手の動作にあったというのが、ミラーニューロン発見の最大の功績ではないだろうか。これまで、何となく胡散臭いと思っていたミラーニューロンであるが、本書を読むと、やはり「世紀の発見」であるように思えてくる。

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