だから荒野 の感想

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参照データ

タイトルだから荒野
発売日販売日未定
製作者桐野 夏生
販売元毎日新聞社
JANコード9784620107974
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » か行の著者

購入者の感想

一気に読みましたけど、よく考えると、あらと思うところがあります。変わらない日常生活、夫や子供たちとの乾いた毎日を捨て、車で逃げるというところは、ふんふんと納得しましたが、そうまでして暮らしていこうとする自立心が見えません。東名高速で長崎を目指す途中にいろんな人たちと出会いますが、この辺りは面白かった。でも長崎での生き方が、はてな?です。人の世話にならず、仕事を探すべきです。それをしないで子供を受け入れてしまうなんて、荒野はどこにあるのでしょう?アン・タイラーの「歳月のはしご」は大好きな本ですが、同じようなテーマなので、つい、比べてしまいました。

冒頭、主婦朋美に対する夫や息子達のあたりは酷く、同情してしまいます。それにプッツンした朋美が夫の車で家出をしてしまう、という展開は私にとっては予想外で顛末が楽しみだったのですが、結末は不完全燃焼でした。

正直朋美の暴走ぶりも期待外れで、最後はやはりこうなるのね、という拍子抜けの印象。

ただ、傲慢で自己中心的な夫や向上心のない朋美の人物描写は巧みで、面白かったです。

桐野夏生の作品は当たり外れが大きい。と言うよりも、当たりは「OUT」だけかもしれない。あのすれっからしの中年女が出てくる「村野ミロシリーズ」も主人公の魅力ゼロで全部外れ。直木賞作品の「柔らかな頬」も結末が詐欺のようないい加減さだし。そしてこの本も私には外れだった。
前半、主人公である妻が突然家族を捨てて旅に出るところまではおもしろい。ここに出てくる夫や息子たちは、いささか誇張気味だがまあどこにでもあるような自分勝手でどうしようもない連中だし、もちろん主人公も欠点が多い。
一気に家族が崩壊に向かうのだが、旅の途中、まだらボケ老人に出会ってから話が妙な方向に進んでいく。どうしようもないはずの息子たちが、突然少しだがいい子たちになっていき、自分勝手な夫まで反省しはじめたり、このあたりからつまらない結末が想像できた。
徹底的な家族崩壊と救いようのない悲惨な結末を期待していたのに、おいおいもしかして・・・、いやまさか・・・と、いやな感じで読み進めると、まさにその、「もしかして」の結末になってしまった。
家族崩壊と再生への期待という、予定調和の凡作だ。書いてる途中で作者のテンションが落ちたのか?
いくら旅の終点が長崎だからといって、あんなまだらボケ老人や原爆の話は不要だろう。あまりにも陳腐。
あの「OUT」をしのぐ作品になるかと期待したのに、本当にがっかりだ。悲惨なのは税込み1680円払った私の方だった。
星はひとつにしたいところだが、前半がまあまあおもしろいので2つ。

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