ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書) の感想

198 人が閲覧しました
アマゾンで購入する

参照データ

タイトルヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)
発売日販売日未定
製作者岩田 靖夫
販売元岩波書店
JANコード9784005004416
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

 他のレヴュアーさんの薦めに従って今道友信著『西洋哲学史』という入門書を読んだ後、こちらを読みました。二冊とも非常に分かりやすい日本語で書かれているお勧めの本ですが、記述の重点の置き所や著者の見解がそれぞれ違うので、やはり入門書は複数読むのが正解だと思います。

 本書は中高生向けのジュニア新書ということで、今道さんの本より世界史の教科書を意識した記述になっていると思います。一般的に中学生さんにはかなり難しい内容だと思いますが、シュリーマンの『古代への情熱』を読める位の世界史好きな高校生さんなら、頑張れば本書もいけるのでは!と思うので、期待を込めて学生さんにもお勧めしておきます。若き日に一流の思想に接するのは非常に重要なことです。内容を深く理解するのはもっと後でもいいので、今は出会いを刻んでおくというだけでも、十分に価値があります。

 目次ですが、
「第一部・ギリシアの思想」、「第二部・ヘブライの信仰〜A・旧約聖書B・新約聖書」、「第三部・ヨーロッパ哲学の歩み」と構成され、最後に<読書案内>が付されています。これは著者の一言アドバイス付きの丁寧な案内になっています。

 今道さんの本は、最後の現代哲学の章の紙幅が極端に少なく、キルケゴールやハイデガー、ショーペンハウアーについての記述が足りないのですが、本書ではかなり言及があります。レヴィナスやロールズなど本当に現代に属する哲学者も紹介されています。また、ホメロス、ギリシャ悲劇作家、ヘブライの預言者たちやルターについても紙幅が割かれています。
 逆に、今村本では扱われるエラスムスやトマス・モア、アベラール、ミランドラ、ベーコン、ブルーノ、ルソー、スピノザ、ライプニッツらは扱われず、パスカル、ヘーゲルは言及がありますが、記述は少ないです。

 タレース、ヘラクレイトス等のギリシアの哲学者たち、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、アウグスティヌス、デカルト、カント、ニーチェについてはどちらの本も十分に紙幅を与えられています。なお個人的には、特にカントについての説明は本書のほうが分かりやすかったです。

本書は、「内容のつまり方」からして、どこから見ても大人向けの内容です。
・ソクラテスとイエスの思想上の共通点は何か(そしてどうして彼らは殺されなければならなかったか)
・ユダヤ教とキリスト教の決定的な違いは何か
・神がいるなら、なぜこの世の悪を放置するのか
・デカルトの「我思う、ゆえに我あり」とはつまりどういう意味なのか
・ニーチェはなぜ神を殺さなければならなかったのか
等々、知ってそうで知らない、ヨーロッパの思想の「根っこ」のところを極めて明快に書いてくれています。
何度も参照できる本です。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書) を買う

アマゾンで購入する
岩波書店から発売された岩田 靖夫のヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)(JAN:9784005004416)の感想と評価
2018 - copyright© アマゾン通販の感想と評価 all rights reserved.