刺青・秘密 (新潮文庫) の感想
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参照データ
タイトル | 刺青・秘密 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 谷崎 潤一郎 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101005034 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
初期の短編集。
谷崎ワールドを堪能するには、20、30ページの短編ではちょっと短すぎるのだけど、「刺青」「秘密」「少年」の三作は傑作。淫テリで小説が好きな人なら好きになるはずです。
どれも、倒錯した性愛(サディズムとかフェチズムとか窃視とか)がモチーフになっているようなんだけど、なんだかこれは性の話なのか何の話なのか、読んでいるうちによく分からなくなってくる。登場人物の何人かは、憑かれたように何かに偏執している。足とか背中とか、目隠しプレイとか。まっとうな基準で言ったら、パラノイアになるのだろうけど、読んでいるとなんだか彼らがまともに見えてくる。これほどまでに何かに固執できるっていうのは、変態的でもあるけれども、全ての物事に飽いている現代人にとっては羨ましいことでもあるのだ。
多分、こういう世界に暴力を加えると花村萬月になる。本作品集の谷崎の世界は濃密でときに淫靡であるが、暴力がほとんど登場しない分、不思議な静謐さをたたえ、なぜか品がある。
谷崎ワールドを堪能するには、20、30ページの短編ではちょっと短すぎるのだけど、「刺青」「秘密」「少年」の三作は傑作。淫テリで小説が好きな人なら好きになるはずです。
どれも、倒錯した性愛(サディズムとかフェチズムとか窃視とか)がモチーフになっているようなんだけど、なんだかこれは性の話なのか何の話なのか、読んでいるうちによく分からなくなってくる。登場人物の何人かは、憑かれたように何かに偏執している。足とか背中とか、目隠しプレイとか。まっとうな基準で言ったら、パラノイアになるのだろうけど、読んでいるとなんだか彼らがまともに見えてくる。これほどまでに何かに固執できるっていうのは、変態的でもあるけれども、全ての物事に飽いている現代人にとっては羨ましいことでもあるのだ。
多分、こういう世界に暴力を加えると花村萬月になる。本作品集の谷崎の世界は濃密でときに淫靡であるが、暴力がほとんど登場しない分、不思議な静謐さをたたえ、なぜか品がある。