ポール・デルヴォー 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕 (シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7の目) の感想

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参照データ

タイトルポール・デルヴォー 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕 (シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7の目)
発売日販売日未定
製作者アントワーヌ・テラス
販売元河出書房新社
JANコード9784309715636
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 作品の数は60余り。白黒のものがあること、絵の全体とその一部分とが重複して掲載されている作品があるのが残念。部分の細部を説明しているということでもないので、スペースがあるのであれば別の作品を載せて欲しかった。
 6章から成り、題の意味は「POST−SCRIPTUM」に書かれている。またそれぞれの章の最後に“純粋な解説”とは言えないような、デルヴォーの絵によってインスパイアされたと思われるテクストが書かれ、不思議な印象を与える構成と内容になっている。ビュトールの「ポール・デルヴォーの夢」の雰囲気に近いものがある。
 目次が無く全体像がわかりづらいため、それぞれの章の題名とページ、若干の感想を書きます。

・「物の秘密と雰囲気の表現」p4
  この章の最後は著者と画家の対談が載せられ、デルヴォーが影響を受けたアンソール、キリコ、マグリットについて、少年の頃に見た汽車や電車について、繰り返し読みふけったジョルジュ・ヴェルヌについて語られる。ヴェルヌの「地球の中心への旅」の中の登場人物はデルヴォーの絵の中に繰り返して描かれることになる。
・「待望の森の広場に」p18
  新印象主義(本書での分類)からスタートし表現主義を経てシュルレアリスム的世界へ入っていく過程を解説している。デルヴォー自身はシュルレアリスムから距離をおいていたらしい。
・「空しくも、不毛にもあらざる、されど大胆さに欠けた女人たち」p28
  これは二つに分かれ、「立ち止まった大きな女人たち」と「実用の仕事をはなれて内気な彼女ら」から成っている。解説として、正装した男たちが描かれている理由が述べられ、デルヴォーが言う単なるコントラストとして以外の意味を探ろうとする。
・「似ることによりさらに美しく」p46
  モーニングを着こんだ男と裸の女の対比を言葉にしようとする。女は魅惑的である。男と女の間にある孤独と沈黙、あるいは男と女それぞれの中にある孤独と沈黙。
・「待ちこがれての涙」p56
  電車と駅のイメージ。これもデルヴォーの絵の解説というより、電車と汽車についての著者の創作に近い。
・「死の領域に君臨する」p64
  骸骨のイメージ。

シュルレアリスム系の画家でも、デルヴォーはかなり日本人に人気がある人でしょうね。

私も大好きです。ほんとにこれはなんだ?というような幻想の世界です。人形のような女人

のイメージや夜の風景、汽車ぽっぽなど懐かしさも湛えた、相当気質に密着した、在る意味

コンプレックスの強い、性的にも屈折のある芸術家なのでしょう。まあ幻想作家はホモセクシ

ュアルでなくとも屈折した女性(エロス)観の持ち主が殆どです。

この骰子の7の目シリーズにも入っているやはり私の好きな北欧画家スワーンベリと大きく

異なるようでいながら、実はエロスの深い根は共通ではないかと思われます。ただデルヴォ

ーの方が夢そのものにより強く依拠してはいるようですね。あとバルチュスもいいですね。

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