The Giving Tree の感想

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参照データ

タイトルThe Giving Tree
発売日販売日未定
製作者Shel Silverstein
販売元HarperCollins
JANコード9780060256654
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

「おおきな木」の作者シルヴァスタインの深いところは結末を空白にしていることにあります。主人公の少年は、男の子となり、青年となり、中年となり、最後に老人となります。彼がその間、どうしていたかについては、ひとこともなく、一枚の絵もない。自分勝手だった男と、何もたずねず、ただひたすらに相手がほしがるものを、その命さえも与え続けたりんごの木の最後は果たして「幸福」な結末と呼べるのでしょうか。そして最後りんごの木の切り株に腰掛けた老人の姿はどうみても幸せそうには見えないのです。空白にされている部分は、すべて読み手にゆだねられ、読者はそこを自らの創造で満たすというしかけになっています。

この話にはふたつの観点があります。ひとつはキリスト教的な「無償の愛」「自己犠牲」「母性愛」です。もう1つは木を自然として、主人公を人間全体として見たたとえでの話しです。りんごの木が何かをこどもに与えていると考えれば、無償の愛なのかもしれませんが、自己利益のためにひたすら恩恵を受け奪い続けて来た、自然に対する人間のエゴイズムを描いているようにも思えます。

この本を読んで思い出したのが宮沢賢治の「よだかの星」です。
自分自身も生きるために多くの虫を食べて命を奪っていることに対して嫌悪感を抱くようになり、よだかは生きることに意味を見いだせなくなってしまいます。なんとも悲しく救いようのないような話ですが賢治の独特な感覚に心打たれる美しい話です。よだか=賢治=人間であります。食物連鎖の頂点にたち自然からひたすら恩恵を受け、奪い続ける人類に対する宗教家としての賢治のするどい問いかけにどう答えたらよいのでしょうか。

仏教的な考えでは、自然は征服し、豊かさを奪うだけの存在ではありません。人間も自然の一部であり、自然は一度失うと取り戻せない、かけがえのない存在です。人間は生きるために多くの命を奪っているという自覚を少しでももつことが、命を敬い、決して粗末には扱わないという決意につながるのではないのでしょうか。人間は「万物の霊長」「地球の支配者」などとおごり高ぶることなく、その恩恵にたいして最大限の敬意をはらうということがもっとも大切なのではないでしょうか。

昨晩寝る前に、寝転がって一緒によんであげました。物語の中盤より息子が涙を流しだしましたが、最後までつきあってくれました。5歳の子供なりに人生とはどのようなものか感じたようにおもいました。0

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