Free Live! の感想

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前作の寂寥感を感じさせるエンディングとは、対照的なギスギスした
アツイ雰囲気からこのアルバムは始まる。
実力で押しまくるライブ演奏である。＃１のAll　Right　Nowから
超カッコイイ。途中コゾフのギター音が、出なくなるアクシデントが
あるがそれでも、このテイクを採用したところに彼らの凄さがある。
急にロジャースに力が入るのである。「絶対にもりさげないぜ」
というプロ根性が感じられる。それに反応した皆の演奏、とくにコゾフ
の中盤から後半のギターは大変盛り上げて挽回している。
＃２のI’m　A　Moverも素晴らしい。ねちっこいベースとドラムに支え
られ豪放かつ、シブく歌うロジャース、そして高音圧で入ってくる
ギターソロといい、ハードなブルースロックの真骨頂である。

オリジナルは彼等の主たるフィールドだったサンダーランド（1970.1）、クロイドン（1970.9）の二つのコンサートから採られたライブである。致命的なノイズが解消されたお蔵入り音源や未発表音源が数多くリリースされた今ではその価値を減じつつあるが、四人が結束した時に起こるマジックを体験できるショーケースである事に何ら変わりない。彼等のライブはステージ最大のスターだったコゾフの出来にかかっていたのだが、彼の絶好調が他の三人に及ぼす影響は絶大である。静と動、クロイドンでのBe My Friend、サンダーランドのThe Hunterが典型例で前者での独特の音空間、静かに空気を震わすブルーな余情はフリーでしか有り得ない演奏だった。そしてThe Hunter、会場をも揺るがすコゾフのトレモロ、挑みかかるボーカル、大きなノリのベースと重いドラムスに熱狂する雰囲気が相俟ってスタジオ版を遥かに凌駕するこの曲のポテンシャルにはいつ聴いても興奮させられる。

Get Where I BelongはMy Brother Jakeセッション時に収録された曲でバンドに起きていた何気ないボタンの掛け違い、声にできない修復への思いが歌詞に託されていてエンディングに相応しい例外的な「スタジオ」曲だと思う。