映像の修辞学 (ちくま学芸文庫) の感想
197 人が閲覧しました
参照データ
タイトル | 映像の修辞学 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ロラン・バルト |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480089366 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門 |
購入者の感想
「イメージの修辞学」では、パスタの広告を対象にして、バルトのイメージ論が具体的に示されるため、これが一番理解しやすい。バルトの論は、「サンタグム」「パロール」などの抽象的な言葉が多く、フランスの社会学用語に慣れていないと読みにくい。「映画について」というインタビューでは、モンタージュの機能について語っている。モンタージュであるから「映画は換喩的な芸術」(p.95)という。J・オーモン他『映画理論講義』「IIモンタージュの機能」(p.79)も参照するとバルトの論がより理解しやすい。
バルトが後日、文芸評論ではなくて映像評論の領域で「プンクトウム」や「第三の意味」といった、半記号論的、反実証主義的論理を展開してゆくのはおもしろいことだ。映像と論理(言語)とは最終的に相互乗り入れできないからだろう。そこにバルトは逸脱というか脱線というか、反規範的な個人的意味の生成へと線を引いてゆくわけだが、本書は、そのラインにいたる重要な分岐点に位置する。