医療におけるデータマイニング講座 の感想

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　この本ではまず、業務システムなどから蓄積される企業内の膨大なデータを、蓄積・分析・加工して、企業の意思決定に活用しようとする手法「ビジネス・インテリジェンス」について紹介した上で、蓄積された膨大なデータを分析し情報として有効活用するためのデータ解析手法「マイニング」の中に、数値やデータに対応する「データマイニング」と、文章に対応する「テキストマイニング」があることを改めて説明している。
　東京大政策ビジョン研究センターの秋山昌範教授は、データマイニングに関連し、医師が行った診療行為に関わる記録を、自分や第三者が追跡・検証可能なようにするため、時系列で表示する必要があるとの認識を示した。チーム医療の観点で見ると、医師や看護師ら医療従事者で容易に共有できるシステムであると同時に、職種ごとにアクセス権限を設けて診療情報に対する不必要なアクセスを抑止することなどが望ましいとした。医療現場のＩＴの利活用についても、自動入力などにより「現場に負荷をかけずに医療現場のすべての流通させる」ことが重要であるとの考えを示した。
　本ではこのほか、高齢者医療確保法に基づく「レセプト情報・特定健診等情報データベース」（ナショナルデータベース、ＮＤＢ）は、世界最大級のデータベースだが、ＮＤＢの研究目的利用は、法律により「例外的に認められている」状態で大きな制約があることや、Ｃ型肝炎のインターフェロン治療の効果予測、創薬、ＰＨＲ（Personal Health Record）、ライフイノベーションなどでもデータマイニングの有効性や可能性を紹介している。
　データを蓄積するだけで終わる企業や団体は少なくない。医療現場も、膨大なデータが活用されていない分野の１つだと言える。この本は、データを分析して利活用するデータマイニングが、医療現場にとって効率性を高めるなどのさまざまな可能性を秘めていることを理解できるのではないだろうか。

※滝岡弘のブログ[]