Store Front: The Disappearing Face of New York の感想

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アメリカの店舗のファサード事例集はとても参考になります。看板やディスプレイなどそれぞれの店舗の顔が画像で納まっています。観ているだけでも楽しいアメリカンな店舗。文化を感じます。店舗内装業などの方にはおススメです。

おおたかの森の3階のカフェーで、面倒なのではじめからギネスを2本たのみ、ニューヨークのメトロポリタン美術館ショップのニューヨーク本特集で買い求めたストアフロントという本を眺めていました。
この本は、21世紀になって失われつつあるニューヨークの古き良きストアフロントを写真に撮っただけでなく、店主にインタビューした内容も記されています。
何件かのチーズショップの店主いわく、ニューヨークの水は旨いモッツァレッラを作るのに不可欠だそうです。
「他の水じゃだめなんだね、これが。だからニューヨークに住み続けているんだ。」

帰ってから、ニューヨークのパブリックライブラリーショップで買い求めた「Encyclopedia of New York City」で調べてみると、ニューヨーク市の水は、遠くはなれたデラウェアの水源と、ニューヨーク市の北の郊外のクロトンの水源のふたつから「ほぼ重力だけで」引いてきているそうです。

多くの店が、90年代から2005年頃にかけて、店をたたんでしまいました。その理由の半分以上が、家賃の高騰。90年代にルーディー・ジュリアーニさんが市長になってから、ジェントリフィケーションとよばれる区画整理が全市で進行しました。最も極端なのがタイムズスクエアで、ポルノ映画館やら怪しげなセックスショップが駆逐され、健全安全で明るく家族向けの地域に変貌しました。同時にあちこちで、家賃の高騰に耐えかねて古い住民が流出し、コミュニティーが崩れました。ストアもその例外ではありません。
ジェントリフィケーションの波に洗われつつある時期のニューヨークの、貴重な資料であり、歴史の証言集です。

うまいモッツアレッラとワインが欲しくなってきました。