的中する生き方―役立つ初期仏教法話〈10〉 (サンガ新書) の感想

211 人が閲覧しました

　子供の頃、学校で習う道徳が、嘘っぽくて嫌で嫌でたまらなかった。今、自分の子供が学校で習っている道徳は、なんだかもう、ポイントが変で、道徳でさえなくなっている。

　口では良いことを言う大人が、どうして尊敬されないのか、嫌われるのか。「日本人の道徳」などと、道徳を限定して語る人の頭にある道徳とは、いったい何なのか。

　スマナサーラ長老は、これまで言われていた道徳の正体を、まず暴き出す。

　では、本ものの道徳とは何なのか。「道徳」を語る他の人のように「俺の言う道徳こそ本ものだ。さあ、これを守れ」と押し付けるのかと思ったら、さにあらず。

　宝物を、惜しげもなく与えてくれるように、「これが本ものの道徳ですよ。誰にでも共通で、これさえあれば、誰でも幸せになれます」と、ただ、いとも簡単に、教えてくれます。たった十個の、素晴らしい宝石を。その十個が、それぞれなぜ素晴らしいのか、鑑定書付きで。

　十項目のどれか一つだけでも、守ろうとがんばれば、どんどん清々しい気分になります。頭が冴えて心が明るくなります。どうしてかなあ、と不思議だったのですが、長老にとっては不思議でもなんでもない話のようで。なぜなら、道徳を守ることが、そのまま、智慧の道だからです。なるほど。

　道徳を真正面から取り上げた本なのに？読めば読むほどやる気が出てきて、元気になりました。正しい道を堂々と歩む力が湧いてきます。