動かすな、原発。――大飯原発地裁判決からの出発 (岩波ブックレット) の感想

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タイトル動かすな、原発。――大飯原発地裁判決からの出発 (岩波ブックレット)
発売日販売日未定
製作者小出 裕章
販売元岩波書店
JANコード9784002709123
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

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今年(2014年)の5月21日に福井地裁で出された表記判決は、多くの反原発を目指す民事訴訟の中で、福島原発事故の後に初めて出された判決であり、原告側の勝訴という、当然にして稀な判決だった。
この判決が出されて間もなく、小出裕章氏がTVインタヴューに応えて、司法がこのような見解を出したことは大変うれしい、という旨の感想を述べられていたが、このブックレットを読むと、そのことの深い意味がわかる。
執筆者は、これまで長年反原発・脱原発の運動や訴訟に関わってきた方々5名で、反原発を目指す訴訟の弁護人3名を含む。
ブックレットという出版形態もそうだが、内容についても、「原告となった人々の声(抜粋)」を紹介したり、末尾についている判決要旨では脚注をたくさんつけ、同ページの下段で丁寧に解説したりしている、というように、民事訴訟裁判、という一見とっつきにくい闘いの方法が、実は我々誰もが当り前な日常生活を送っていくために大切な、いわば身近な取り組みであることを伝えていると思う。
反原発・脱原発訴訟の歴史は長いが、2011年の福島第一原発事故後新たに加わったことで、今や全国の殆どの原発で提訴されており、p.39に掲載されている「全国脱原発訴訟一覧」によると、未提訴はわずかに女川と東通だけとのことである。これは何を意味するか? 川内原発の再稼働が原発推進側による旧態依然のたわごとたる「安全神話」に乗って決定され、マスメディアがそのことの是を唄いあげているにもかかわらず、原子力発電所が存在することの危険性を認識している者たちは全国どこにでもいる、ということなのだ。
このたびの福井地裁の判決文は、何よりも憲法に裏付けされた「人格権」を最優先させた、実に毅然として力強い判決内容であり、原発推進側の推進理由に対しても鋭く的確な反論を含んでいる点、今後の反原発・脱原発の様々な取り組みにとって良い影響を受け得るものだということがわかる。
この判決文を書いた裁判官の方々には深い敬意を覚えるとともに、裁判所の中での動きを広く生活者・社会一般の中に理解できる形にして解説し続ける執筆者の方々にも敬意を表したい。

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