東京電力・帝国の暗黒 の感想

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タイトル東京電力・帝国の暗黒
発売日販売日未定
製作者恩田 勝亘
販売元七つ森書館
JANコード9784822807535
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 資源・エネルギー

購入者の感想

 2007年7月16日、新潟県中越沖地震で、東京電力刈羽原発3号機の変圧器が炎上し、また微量ながら放射能が漏れた。東京電力は原発を長期間止め、点検や補修を余儀なくされた。まさしく「想定外」の事故が起きたのである。本書の刊行(2007年)後3年を経た2011年3月11日、東日本大震災に伴う津波で、東京電力福島第一発電所の大事故が発生した。東京電力は、「想定外」のオンパレードが事故の原因と言わんばかりだが、果たしてそうか? 本書は、東京電力の(そして他の電力会社も)隠蔽体質こそが原発大事故の原因であると強く示唆している。

 本書によれば、世間的には「優良企業」である東京電力の事故隠しの歴史は長い。刈羽原発で立地計画時には既に判明していた活断層の無視、福島原発における作業員被爆事故(1980年)、2006年から2007年にかけて明らかになった電力各社の一連の不正や事故隠しなどである。極め付けは1978年の福島第一原発3号機における、制御棒脱落による臨界事故である。いずれも、根本的な対策がなされることはなかった。今回の津波についても、社外はもとより、社内専門家からも、かねてから「想定外」の津波が発生する危険性が指摘されてきたことが明らかになっている。

 なぜ、このような事故隠しや「臭い物に蓋」の体質が生まれたのか。著者は、官僚的で派閥闘争の多い企業体質、地域独占で競争がない事業環境、政治家や監督官庁、メディアとの馴れ合いにその原因を求める。特に、監督官庁である経済産業省(直接の監督機関である原子力安全・保安院を含む)との関係にはぞっとする。事故隠しを行なっても、東京電力を強く指導できないような「監督」官庁でしかないのである。東京電力の「再生」があるとしたら、監督官庁を巻き込んだ、過去に類例のないような厳しいものになるに違いない。

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