感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ の感想
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参照データ
タイトル | 感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | アントニオ・R・ダマシオ |
販売元 | ダイヤモンド社 |
JANコード | 9784478860519 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 |
購入者の感想
本書は、著者の研究テーマである人間の脳・身体・心の解明についての一般読者向けの書籍『生存する脳』『無意識の脳 自己意識の脳』に続く3作目という位置づけです。
本書においては、既著で解き明かされた、意思決定における情動と感情の役割(生存する脳)、自己の構築における情動と感情の役割(無意識の脳 自己意識の脳)での知見をベースとして、感情そのものに切り込んでいます。
解説の仕方として、戦略的に人間の情動・感情を分離して取り扱い、情動と感情についての解説を行ったうえで(ここまでは前著の知見がベースになっています)、それらを本来のかたちに統合し(人間の身体の中では統合されているので)一つの系として感情とは何か、何の役に立つのか、それがどのように進化してきたのか、生得的なものと後天的なものは何か、といった観点で解説しています。
そのうえで、まだまだ未解明なところは多いと断りつつも、人間の心について、これまで得られた科学的な知見をもとに仮説を組み立てています。
また、原著タイトルである「スピノザ」については、著者のこれまでの研究結果から、最新脳科学の知見に概ね整合する哲学者としてスピノザを取り上げ、スピノザの提唱した哲学や、その背景としてのスピノザの生きた時代・生き方を織り交ぜながら、感情そのものについて解説しています。
最近の脳ブームに便乗した本の中には、自説に都合のよい脳科学・神経科学の知見だけを取り込んでいるものが少なくありませんが(特に社会科学系の学者に多いです)、本書はそれとは一線を画しています。
確かに著者はスピノザの哲学に触発されてはいますが、自身を含めて行われた研究によって得られた最新の知見をもとに体系化された情動・感情についての理論をまず明確に提示し、それに見合う哲学を探したらたまたまスピノザだった、というものです。
更に、これらの脳科学・神経科学の知見とスピノザの哲学を踏まえて、これから人間が幸福に生きるためのアドバイスを試みています。
スピノザの哲学そのものを読んだことはないのですが、著者の解説からは、老荘思想・禅に似たものだと推察されます。
本書においては、既著で解き明かされた、意思決定における情動と感情の役割(生存する脳)、自己の構築における情動と感情の役割(無意識の脳 自己意識の脳)での知見をベースとして、感情そのものに切り込んでいます。
解説の仕方として、戦略的に人間の情動・感情を分離して取り扱い、情動と感情についての解説を行ったうえで(ここまでは前著の知見がベースになっています)、それらを本来のかたちに統合し(人間の身体の中では統合されているので)一つの系として感情とは何か、何の役に立つのか、それがどのように進化してきたのか、生得的なものと後天的なものは何か、といった観点で解説しています。
そのうえで、まだまだ未解明なところは多いと断りつつも、人間の心について、これまで得られた科学的な知見をもとに仮説を組み立てています。
また、原著タイトルである「スピノザ」については、著者のこれまでの研究結果から、最新脳科学の知見に概ね整合する哲学者としてスピノザを取り上げ、スピノザの提唱した哲学や、その背景としてのスピノザの生きた時代・生き方を織り交ぜながら、感情そのものについて解説しています。
最近の脳ブームに便乗した本の中には、自説に都合のよい脳科学・神経科学の知見だけを取り込んでいるものが少なくありませんが(特に社会科学系の学者に多いです)、本書はそれとは一線を画しています。
確かに著者はスピノザの哲学に触発されてはいますが、自身を含めて行われた研究によって得られた最新の知見をもとに体系化された情動・感情についての理論をまず明確に提示し、それに見合う哲学を探したらたまたまスピノザだった、というものです。
更に、これらの脳科学・神経科学の知見とスピノザの哲学を踏まえて、これから人間が幸福に生きるためのアドバイスを試みています。
スピノザの哲学そのものを読んだことはないのですが、著者の解説からは、老荘思想・禅に似たものだと推察されます。