サマータイム (新潮文庫) の感想

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タイトルサマータイム (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者佐藤 多佳子
販売元新潮社
JANコード9784101237329
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » さ行の著者

購入者の感想

 小学五年生の伊山進と一つ年上の姉の佳奈。進より二つ年上で、ピアニストの母親と二人で暮らしているどこか大人びた浅尾広一。夏休みの最後の日、三人で一緒に食べた塩辛いミント・ゼリーの思い出。喧嘩したまま別れた佳奈と広一。そして六年後、大学生になった広一との再会(「サマータイム」)。その数年前、進の自転車と佳奈のピアノが初めて家にやってきた頃、まだ幼女の面影を宿す佳奈のある日の出来事(「五月の道しるべ」)。佳奈と別れてから三年後、やがて新しい父親となる男と広一との出会い(「九月の雨」)。十四歳になった佳奈と調律師・センダくんとの、氷の鍵盤が奏でる「絶対零度の音」がとりもつ「義理でもないけど、LOVEでもない」関係(「ホワイト・ピアノ」)。四季それぞれのイメージに彩られた四つのショート・ストーリーが綴る、思春期というにはまだ早い、あの特別な時間だけがもつ壊れ物のようなつかのまの煌めき。自転車とピアノ。二つのマイ・フェイヴァリット・シングス(私のお気に入り)に託された、切ないほどピュアな世界。何か大切なものが、ひっそりと編み込まれている。

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