夏の闇 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル夏の闇 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者開高 健
販売元新潮社
JANコード9784101128108
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

この作品は、先の輝ける闇 (新潮文庫)と、後の「花終わる闇」をもって3部作として構想されたが、3作目は未完に終わった。

それというのも、前2作があまりにも親密に呼応しあってるからではないかと、この2作を立て続けに読んだ後、痛感した。

この2作は、様々な面で見事な対照をなしているけれども、びっくりするくらい似てもいる。

時系列的には、「輝ける闇」から「夏の闇」につながるが、どちらを先に読んでも構わないと思う。

それは、陰と陽がお互いを追い求めながら永遠に回転する様を思わせる。

おそらく、作家が執筆中には意図していなかったことが、どこかで起こった。

この作品のエンディングで、東西をくぐり抜ける環状線の描写があるが、これは当初から計算されていた結末というより、作家が切り拓いた道を振り返る事で見えた情景だと思う。

この2作の凄い所は、どちらか一方だけを読んでも、十分な感銘を与えてくれる事だ。

3作目は、この2作に切り込みを入れ、交わるものとなったはずだが、それが果たせなかったのも、さもありなん、と思う。

読み切るのは楽ではないけれど、充分過ぎる位の見返りがあります。

ぜひセットで読んでみて下さい、お薦めです。

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