日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く の感想

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タイトル日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く
発売日販売日未定
製作者梶山 恵司
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532354572
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購入者の感想

 著者が森林・林業再生プランの企画的な立論者であり推進者である点を踏まえれば、大変納得の行く内容と成っている。著者はドイツの林業に極めて早い時期から着目し、またそこから日本の林業の再生をドイツのやり方によって根本から変え得るのではないかと言うアプローチから本書を成している。
 つまり、森林・林業再生プランについて立論者の視点から何が言いたいのかが、良くわかり、プランの賛成反対以前に、プランその物の意図を理解する上で必読の書と言える。

 前半に主に日本林業の問題を捉え、後半にドイツモデルの展開、そして最後段に持論を展開している。図示や具体的数値の引用も多く、森林が専門で無くとも入り易い内容と成っている。比較的間口の広い形で意見が述べられている点は読者層を極めて広く想定しており、ビジネスエントリーと言う見方で今後の展開を捉える場合でも分かり易い内容と成っている。
 結局、立論者自身が立論内容を解説し、それを啓蒙として説明しているのが本書なのである。前後に出された幾つかの書籍と読み比べながら、森林・林業再生プランの本質を考える場合、明確に一つのコアとして本書の意味は当然の様に重い。

 ただ、若干章割りが多すぎ、議論が振れる傾向から星を一つ減らした。それでも、日本の森林を取り巻く問題が広範囲かつ多様である事からも、著者の意見の様に議論が広がり過ぎると言う傾向は当然なのかもしれない。

日本の林業というと、なんとなく「高コスト体質のため輸入木材に負けてしまい、再起不能。結果森林は荒廃してしまい、もはや再生も困難。大規模な公共事業、あるいはボランティアベースでどうにか維持していかなければならないお荷物」というイメージを持っていました。

本書が描く日本の林業は、実際かなり悲惨な状況です。たとえば、森林の所有者が森林から離れている。所有者たちの組合(森林組合)は、補助金漬けに慣れて、事業化の動きが少ない。林業従事者は少なく、森林資源の管理と高度利用のための専門技術の蓄積が乏しい。結果、木材を利用する関連産業(建築、家具など)にとっても、国内材が利用しにくくなっている。などなど・・・。

ですが、本書によって問題が明確に描き出されており、対処の方策も十分に示唆されています。むしろ、問題が明確な以上、対処の方針も立てやすいんじゃないかとさえ思いました(上には問題ばかり書き連ねましたが、50年前の植林の成果によって、日本の森林資源が保育から利用の段階になっているという大きな機会についても、本書では強調されています)。

著者の語り口は、感傷的なところが無く、大変具体的で、科学的です。そのぶん、かえって私には衝撃的でした。多くの方にとっても同様だろうと思います。多くの人(特に真面目なエコロジストの皆さん)に読んで欲しい1冊です。

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