日本の歴史〈11〉戦国大名 (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトル日本の歴史〈11〉戦国大名 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者杉山 博
販売元中央公論新社
JANコード9784122045088
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 全集・選書

購入者の感想

40年前の研究を元にされているので仕方ないのだが、

京を中心とした畿内情勢についての内容は少なく、物足りなさを感じた。

あとがきにもある通り、複数人の原稿を元にしているので、読んでいて散漫な印象を受けるが、

幕府、中央が勢力を失って地方が活気付いてる時代なので、

各地方勢力を主に取り上げていることは、この時代の全体像としては案外妥当とも言える。

取り上げている勢力も、有名戦国大名なのでとっつきやすいと思う。

なので、逆にその勢力にさほど興味が無ければ、読み飛ばす部分も多くなるし、

逆に興味があれば、内容を薄く感じるかもしれない。

通史としてこの時代の動向を押さえるという点では、良い本と思う。

最も人気のある時代の巻なので、結構書くのが難しかったと思う。個人的には大ファンの上杉謙信が極めて線の細いお粗末な武将に描かれており、がっかりな面もあったが、事実に即してみると案外にそうだったのかもしれないと、納得させられた。面白いのは、北条早雲、分けてのその家訓や、朝倉宗滴の兵術、毛利元就の酸鼻を極めた謀略の一生などで、日本武士のプラグマティックぶりには圧倒され、お国自慢ではないがこの伝統が、明治維新、近代化、或いは戦後の復興に大いに寄与したと思われる程で、倫理的にはともかく、とてつもなく有能な人たちだったと思える。尤も、毛利元就の残忍極まる謀略は、かねてより聞いていたが、吉川、小早川両家の乗っ取りなど実に酷い。婚姻を結んで間もなく、先方の家人を皆殺しにしてしまったり、長年宿敵だった家老井上衆の粛清など、どれも呆れかえるもので、早雲や道三の乗っ取りより酸鼻を極めている。このシリーズを読んでいると、日本の武士とはどういう連中だったかその生態がなんとなく見えてくるのが楽しい。その本質は暴力の専門家であるのみならず、謀略の専門家であり、執拗さと徹底ぶり、そして、多岐にわたる知識と判断力、すべては生存を賭けた戦闘的な「知の集約と運用」にその特徴を感じてしまう。

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