未承認国家と覇権なき世界 (NHKブックス No.1220) の感想

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タイトル未承認国家と覇権なき世界 (NHKブックス No.1220)
発売日販売日未定
製作者廣瀬 陽子
販売元NHK出版
JANコード9784140912201
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

そもそも未承認国家という言葉をほとんど認識していなかったが、文藝春秋の2015年の論点100にこの著者が未承認国家問題のことを書いていて興味をひかれて本書を購入してみたが、想像以上に内容が深く、近年の国際政治の状況を良く理解することにとても役立つと感じた。
未承認国家という切り口で世界を見ると、新たな見方が出来るし、大国の動きも合理的に理解出来ると感じた。特に、今年起きたウクライナを中心とした国際政治の大事件も本書を読むと、その背景などとてもよく分かるし、色々な人の言い分や問題が解決されない理由、問題が複雑化してしまう背景などが非常に良く理解出来た。
国際政治を見る上で新たな視点を得ることが出来るし、現在の情勢を理解する上でも確実に役立つので、本書はお勧めだ。
自分としても、未承認国家のことをもっと知りたいし、これkらも続編など是非出して欲しい。

スコットランドの住民投票、イスラエルとパレスチナ自治区ガザの地上戦、はたまた香港の民主化デモ、ウクライナ東部の波乱、そしてそれに影響を受けて世界各地で起きる分離化への希求……。

いままさに世界のいたるところで起きている、これまでの「国家」という枠組みを揺るがす出来事。それらを紐解くのに有効なひとつの考え方がある。それが「未承認国家」だ。

「未承認国家」と聞いても漠然とした印象しか持てないかもしれない。最もわかりやすい例は、ソ連解体後の東欧・中東で起きた各地の内戦、紛争、あるいはわれわれに身近な台湾があげられるだろう。つまり、「未承認国家」とは、著者の廣瀬氏がもっとも適切と考えるニーナ・カスパーセンの定義を要約すれば下記の5つの定義によるものである。

・権利を主張する少なくとも3分の2の領土とおよび主要な都市とカギとなる地域を含む領域を含合しつつ、事実上の独立を達成している。
・指導部はさらなる国家制度の樹立と自らの正統性の論証を目指す。
・エンティティ(政治的な構成体)は公式に独立を宣言している。ないし、たとえば、独立を問う住民投票、独自通貨の採用、明らかに分離した国家であることを示すような同様の行為を通じて、独立に対する明確な熱望を表明している。
・エンティティは国際的な承認を得ていない、ないし、せいぜいその保護国およびその他のあまり重要でない数カ国の承認を植えているにすぎない、
・少なくとも2年間存続しつづけている。

これをみればわかるとおり、いま私たちが生きる現在は、既存の「未承認国家」によって引き起こされている問題や、新たな「未承認国家」が現出しつつあるということである。

本書の冒頭では「(主権)国家」という枠組みが、あまりに茫漠で、大国の思惑に左右された、頼りないものということがわかる。そして読みすすめていけばいくほどに、現出しつつある「未承認国家」が今後辿ることになるであろう道のりの、困難さを感じることができる。

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