An Artist of the Floating World の感想

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タイトルAn Artist of the Floating World
発売日販売日未定
製作者Kazuo Ishiguro
販売元Faber & Faber
JANコード9780571283873
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

カズオイシグロ作品は全8冊原書で読みました。自宅で英文学会をやっていますのでひとつのテーマとしてです。寡作の作家ですので、全作通読すると大変面白かったです。もちろん後期の作品が素晴らしいのですが、彼の価値観や人生観、語彙や好きな言い回しなどには、通底するものがあり、8冊飽きずに読み通せます。私は実は、The Unconsoled
が好きです(これも芳名タイトルに違和感あり)。Nocturnesと同じく彼の芸術観がよく出ています。

超一流の絵師だったはずの主人公。物語はその彼が抱く「悔恨」の念を軸に紡がれて行きます。まるでメトロノームでテンポを測りながら書いたように、冷静で崩れることのない文章。戦後の日本をここまで微細に英語で描き上げた作品があったことに驚かされました。
一方で、イシグロ・ワールドがこの作品で一つのスタイルを確立したことが読み取れます。ここを起点にして、The Remains of the Day や The Unconsoled や When We Were Orphans が造り出されて行ったたのだな、というのがよく分かる。後の作品に較べると少し小ぶりなところはありますが、何かのエキスパートである主人公が心の中にある小さな塊に胸を痛めることでストーリーが展開して行きながら、背景に時代、社会、民族といった問題が大写しに現れ出でる、という構図はこの作品でも見事です。
ミュージシャンになりたかったイシグロさんが、ひょんなことから作家になって、最初に書いた二つの作品が日本を舞台にしていた、ということに大きな親近感を抱いた私でした。

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Faber & Faberから発売されたKazuo IshiguroのAn Artist of the Floating World(JAN:9780571283873)の感想と評価
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