Modern Quantum Mechanics の感想

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タイトルModern Quantum Mechanics
発売日販売日未定
製作者J. J. Sakurai
販売元Pearson Education (US)
JANコード9780321503367
カテゴリ » 洋書 » Special Features » all foreign books

購入者の感想

本書は日本生まれアメリカ育ちの素粒子物理学者によって書かれたものである。
本書の特徴は公理構成論的な書き方になっている、式変形等が丁寧等があげられる、発展的な話題が多い、等がある。
(ただし、数学的にちゃんと公理化されているわけではない。その様な厳密な公理化の例は清水明の量子論の基礎等に明るい。)
本書の流れとしては、まず第一章ではDiracのブラケット記法に徹底的に慣れさせ、その後時間発展の理論、角運動量理論、摂動理論、・・・と続いていく。
初学者には、最初は慣れないかもしれないが、必要な事項は全て本書の中で説明してあるので、とっととブラケット記法に慣れてしまった方が良いだろう。

所で、本書を読む上で解析力学には一通り慣れておいた方が良いだろう。
特に無限小変換の生成子としての運動量の定義や、正準交換関係、準古典近似の辺りは解析力学の背景は必須である。
(ただし、それほど深い物が必要なわけではない。ランダウの力学の該当箇所だけでも大丈夫であろう。)

本書は、経路積分、ベリー位相、ERP相関等発展性のある話題を豊富に含んでいる。
また、散乱問題の計算は素粒子理論出身だけあって、非常に丁寧にあつかってある。
一方、量子論を導入するモチベーションとなる実験事実や経緯はあまり語られていない。
また、多体問題は部分的で、射影仮説の取り扱いや密度演算子による集団の取り扱いは不十分である。

しかしながら、量子力学の基礎固めとしてこの本が素晴らしい物であることは少しも揺らがない。

ほとんどの量子力学の教科書はメシアやシッフのような標準的なものを要約しているだけのような、でなければ噛み砕いているだけのようなものばかりだが、本書では著者が独自に量子力学全体を考えなおして論理を再構築しようとした様子が分かる。著者の深い考察によって量子力学の本質がえぐり出されており、その論理は非常に明確で力強い。著者がいかに量子力学をよく理解し、奇才だったかがうかがい知れる。第一章の整理された基本原理を中心にして、全ての章は有機的に結びついている。演習問題も単なるかき集めではなく、本文から派生する重要な応用が意図的に並べられている。この教科書はファインマンや朝永振一郎の教科書に並ぶ強烈な個性を放っている。しかも、この2冊が読み物的な傾向が強いのに比べて、本書は実用的である。後半部が本人の手でまとめられなかったのは本当に惜しまれる。

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