ドラッカーと論語 の感想

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タイトルドラッカーと論語
発売日販売日未定
製作者安冨 歩
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492045381
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

 私たちは生きていくために、この社会でなんらかの組織にいる。ドラッカーと孔子は、その組織とそこにいる人間を見つめ続けた。
 本書は、現在社会で起きている事件・事故(人災)や、数多くの組織が抱える問題にも通じる内容だ。ドラッカーと孔子はその解決策についても明らかにしている。それは、組織の仕組みや機構にあるのではなく、私たち自身の在り方にあるという。私は本書を人間の内側から読み進め、孔子(論語)の視点からドラッカーの思想を理解し、ドラッカーの視点から孔子の思想を学ぶことができた。
 ドラッカーは、若き時にドイツに吹き荒れたファシズムの嵐を体験し、ファシズムの本質が 「社会のすべてが組織化される」 ことにあるということを見抜いたという。一方、孔子は今からおよそ2500年前に、顔の見えない君主に人民はどうすれば従うのかとの問いから組織と人間を見つめた。ドラッカーも孔子も人間に焦点をあてながら、組織というものを奥深く掘り下げていった。そして組織の中で人間はどうあるべきかを解き明かしていく。
 ドラッカーは、組織が本来の機能を発揮して成果をあげていくためには、「マーケティング」 と 「イノベーション」 が必要だと述べている。
 「マーケィング」 と聞くと市場調査等を思い浮かべるが、「マーケィング」 とは、社会で何が求められ、社会の中で自分たちは何ができのるかを知る行為であり、己を知ることだという。よく耳にする 「お客様目線」 、「顧客視点」 といった考え方は、他人の感覚に自分を迎合させることになり、それは、自分の感覚を他人に譲り渡し、「己」 を見失うことになるという。
 そして 「イノベーション」 とは、技術革新のことではなく、自らの内面、すなわち、ものの見方だとか認識だとか考え方だとか生き方などを改めることだという。
 一方、孔子は、君子は 「義」 すなわち 「何をすべきか」 を考えるのに対して、小人は 「利」 すなわち 「何をしたら得か」 をまず考えてしまうという。論語の中で頻繁に出てくる 「仁」 たりうる者を 「君子」 と呼び、学習回路が開いている状態が 「仁」

 ドラッカーを読んだことがなくても、『もし高校野球のマネージャーがドラッカーを読んだら』(通称『もしドラ』)なら読んだことがある、という方が多いかも知れない。やはり取っつきやすさが違う。ドラッカーというと、どうしても経営者のために書かれたビジネス書の著者と思って敬遠してしまいがちである。しかし、そうではない。その思い込みを打ち消してくれる本である。
 では、ドラッカーとは何か? それを解く鍵は『論語』にあると筆者は言う。筆者はドラッカーと『論語』に共通する思想を読み取り、その思想がこれからの社会にとって重要な意味を持つと言う。
 重要な言葉として、マーケティングとイノベーションとかいう言葉が取り上げられる。たとえばマーケティングとは何か? 市場調査?
 筆者によると、ドラッカーの言うマーケティングは違う。マーケティングとは、まず自分を知ることである。自分が何者であるかを知ることによって、社会の中で自分のできることがわかる。その例の一つとして旭山動物園が挙げられる。旭山動物園の成功は、飼育員達自身が自分たちは「動物のものすごい迫力に対する敬意」を持っている人間であるということを知る。自分を知れば、後は世間の「動物のものすごい迫力」を見せることが自分たちの役割であるとわかる。こうして「行動展示」が生まれた。
 このように、まず自分を知ることから始める姿勢は『論語』に示される「知」にあたると言う。
 また、イノベーションという言葉に対しては、往々にして技術革新という言葉が当てられるが、これも違うと言う。ドラッカーの言うイノベーションは、「社会やそこで生きる人々の生活のあり方をガラッと変えてしまうような『劇的な変化』を引き起こす何か」だ。だから、技術革新でなくても、たとえば、割賦販売も社会を変えたと言う意味でイノベーションである。
 また、筆者は、社会だけでなく個人をもイノベーションという言葉の対象とし、個人に劇的な変化をもたらすものとする。社会であれ、個人であれ、変わるためには常にフィードバック(学習)を続けなければならない。そのフィードバックができている状態を論語では仁という。

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