空が灰色だから　４ (少年チャンピオン・コミックス) の感想

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阿部共実「空が灰色だから」4巻。

今回も安定して面白い。強いて今巻の特徴を綴るなら単純なコメディ話よりも、真っ黒で怖いお話よりも
人間の弱い部分、社会的に弱者の立ち位置に望まずとも立ってしまう人々の話が多かったように個人的には感じた
それをワンパターンではなく様々な角度から描き出す手法は今回も見事の一言
別に問題が解決している訳ではないし
最終的にハッピーエンドを迎えられる訳でもない、
それでもある種残酷とも形容出来る人間の本質的な一面ばかりを切り取った内容は他の作品にはない独特の味わいがあって
正にかゆい所に手が届くニッチ系の作品として益々研ぎ澄まされてきた印象、割と巻毎に読み応えが微妙に違うのが面白いと思う。

口では罵り合っていても実は愛情表現の一種だったり、不敵な発言が目立つ一方で心は脆弱だったり
ある方面では勇敢に思えても別の方面では他人に逆らえない弱虫だったりと
描かれている人物は誰しもが至極人間らしく
単純なエンタメというよりは
人の醜い部分もきれいな部分も両方あまさずに描き出す半ドキュメント的な作品で
世の中の「当たり前」にメスを入れたと思ったら、それに対する否定的な見方にも同時に作中で疑いの描写を入れたりと
案外中立的な描写加減になっているのもまたこの漫画の良い部分、絶望と間抜けが合わさっているリアルな滑稽さもまた我々の日常そのものだと思います。

正直な話、少年誌らしい立派な人物の方が明らかに少ない。だからこそ、同じ目線でキャラに愛着が沸く、そんな作品。