初歩からの経済数学 の感想

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私は，チャンの現代経済学の数学基礎〈上〉と下巻の合わせて約1000ページを，ところどころ寝ながら読んでいたのですが，本書はその1000ページがだいたい三分の一にまでスリム化したものと言えそうです．
ただし、チャンは経済学への応用例が豊富なので、一概にどっちが優れてるという判断はできませんでした。

内容は割と被っており，チャンの方の数十ページに渡る長々とした説明が本書では数ページにまとめられていて，だからといって難しいわけではなく，イメージを非常に大切にする説明がなされており，チャンの方よりも早く出合いたかったです．
特に線形代数なんかは，ただひたすら計算させられるつまらない分野だと思っていたのですが，本書のおかげで行列の計算の意味を知ることができました．

著者が日本人なので，翻訳本によくある「日本語とは言えないような和訳」が出てくることもありません．

練習問題の答えがあるのも素晴らしいです（ほとんど略解ですが．．．）．

内容のレベルは，あくまで学部レベルでの経済数学はパーフェクトになるレベルだと思います．院を目指す場合，本書を終えたら，経済学・経営学のための数学などで，より厳密な内容を抑えて，クーン＝タッカー条件やトポロジーだとかを習得する必要があると思います．

センター試験で数学がお荷物だったぐらいのレベルの方は，結構な決意が無い限り，本書はあまり長続きしないかもしれません．
そういう方にはチャンの方をオススメします．

大学のゼミでも良く使われており、数学があまり得意でない人にも分かり易く初歩から書いてある。ちまたの「初歩」と謳った金融工学入門書を読むよりは非常に分かり易い。