シティズンシップの教育思想 の感想

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タイトルシティズンシップの教育思想
発売日販売日未定
製作者小玉 重夫
販売元白澤社
JANコード9784768479063
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

さっと読めるけれど、私にはやや難解な部分もあったので、ネットで調べて参考にしました。

たいていの教育の本は、お手軽なハウツーものばかりで退屈なものが多いが、本書は小粒でもギラリと光っている。著者の提唱するシティズンシップ教育に賛否は分かれるだろうが、避けて通れない問題提起だと思う。成果誇示型の(嘘くさい)教育書よりよほど斬新で面白い。その理由は三つある。
第1に、国家や企業を相対化する視点を示していること。著者はフーコー、アガンベンらの思想を引きながら、政治的な自立を経済的な自立から分離し、政治的な自立を支援する教育をしようと呼びかけている。これは画期的なことだ。自分の稼ぎでメシを食っていても、政治に無関心な人が多い日本では、これから必要となる教育の方向を指し示したと言える。
第2に、教師と生徒の関係に「他者」という概念を持ち込んだこと。これは朝日新聞の書評でも苅谷剛彦氏が評価していたが、著者はアレントやデリダの思想を援用して、「大人の言うことを聞け」式の知識詰め込み教育と「子どもは無限の可能性」式の甘い幻想の両方を批判して、大人と子どもがお互いに他者として向かい合うことを勧める。
第3に、日本の戦後教育の限界を批評していること。
本書は表面上は西洋の教育思想を現代思想の立場から批評するスタイルで書かれているが、よく読むと、国家か個人か、資本か労働か、保守か進歩かの二項対立の間で身動きできなくなっていた日本の教育の硬直性を手厳しく批判している。それも自由主義史観のように中立を装った保守の側からではなく、リベラリズムをさらに先へ進めるかたちでの批判だから説得力がある。

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