国家と音楽家 の感想

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参照データ

タイトル国家と音楽家
発売日販売日未定
製作者中川 右介
販売元七つ森書館
JANコード9784822813864
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

中川右介の著作が出版されると、なぜか目を通したくなってしまう。私にとってこの世で一番興味があるのは「人間」であり、中川が著すものは、クラシック関係であれ、歌舞伎関係であれ、どれも「人間と音楽」、「人間と芸能」を生き生きと描いているからだと、自分を納得させている。

この意味で、『国家と音楽家』(中川右介著、七つ森書館)も期待を裏切らぬ力作であった。

「国家と音楽家――本来ならば対峙するものではない。だが、二十世紀という『戦争と革命の世紀』は多くの音楽家を国家と対峙せざるを得ない局面に追い込んだ。ある者は妥協した。ある者は屈服した。ある者は対立を避けて国外へ出た。闘い抜いた人もいるし、死の一歩手前にあった人もいれば、故国喪失者となった者もいる」という著者の言葉に触れただけで、ワクワクしてしまうのは私だけだろうか。

登場する政治家は、ヒトラー、ムッソリーニ、フランコ、スターリン。ケネディ、ニクソンといった面々であり、彼らと対峙した音楽家は、フルトヴェングラー、カラヤン、トスカニーニ、カザルス、ショスタコーヴィチ、クーベリック、コルトー、ミュンシュ、ルービンシュタイン、バーンスタインたちである。

ヒトラーに翻弄されたフルトヴェングラーとカラヤンは、このように描かれている。「史上最も藝術に理解があり、藝術を保護し支援した政治家は、おそらく、アドルフ・ヒトラーである。彼の政権ほど、クラシック音楽とオペラを優遇した政権はない。それゆえに音楽家たちは、戦後、ナチ協力者として批判された。はたして、音楽家たちに罪はあったのかなかったのか。この音楽好きの独裁者と、世界的名声を得ていた音楽家たちは、どのような関係にあったのか」。

「『ナチ音楽家』としての批判を一身に浴びる指揮者、それがヘルベルト・フォン・カラヤンである。実際に、ナチ党員だったのだから、言い訳はできない。しかし、本当にカラヤンが『一番悪い奴』だったのであろうか」。

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