もっと知りたい曾我蕭白―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) の感想

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タイトルもっと知りたい曾我蕭白―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
発売日販売日未定
製作者狩野 博幸
販売元東京美術
JANコード9784808708313
カテゴリアート・建築・デザイン » 芸術一般 » 美術史 » 東洋・日本美術史

購入者の感想

近世絵画において、狩野派や琳派、四条派といったある種のメインストリームに光があたっていましたが、近年の美術史界において、それとは違う現代感覚に通ずる「異端」の絵師への注目が集まっています。

若冲、芦雪、そして曾我蕭白もその一人です。近年の京都国立博物館での展覧会の盛況振りが語られていますが、それを企画した近世日本絵画研究者の狩野博幸同志社大学文化情報学部教授による著作ですので、これ以上の解説はないでしょう。曾我蕭白の作品を理解する上で避けては通れないムックです。

生い立ちと動物描写、群仙図屏風と人物描写、京都定着以降と風景描写、という章立ての中に、蕭白をめぐる人々、蕭白はここが違う!蕭白畸人伝、などのコラムが書かれています。

特に、蕭白の画業の特徴を表わしている群仙図屏風については、40頁以降に、描かれた人物をクローズアップして深い洞察力に裏付けられた説明が記載されています。この代表作を眺めますと、確かに蕭白が力量のある絵師であるのはすぐに理解できることでしょう。時代が彼を評価できないまま近年まできたわけで、異端は時代を越えて鮮烈な光を放っています。蕭白への低い評価は戦前の日本画壇での評価軸の傾きによるものかもしれません。

若くして、次々と両親を亡くし、兄を亡くし、幼い妹と生きていかねばならなくなった蕭白の心中を思えば「異端」の絵画を描くのも理解できます。後に長男まで亡くしてしまうわけです。淋しい生涯でしたね。京都を離れ、伊勢と播州を転々とし、また京に戻り、酒におぼれて52歳でこの世を去りました。心の隙間を画作で埋めることでバランスを取っていたのかもしれません。

約100頁の分量で、オールカラー、権威ある狩野博幸氏の解説、そして廉価とくれば、安心してオススメできる書籍でしょう。

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